極めてうまい野菜~ホワイトアスパラガス~

手前がグリーン。奥の遮光ハウスでホワイトが作られている

昔、お付き合いのあるシェフにこう言われたことがある。

「肉や魚を使うことで旨みが出る。野菜では、甘みを出すことはできるが、旨みは出ない。」

これはほぼ真実だと思う。

数少ない例外が、トマトだ。野菜の中ではグルタミン酸を含み、欧米ではもっぱらソースに使われる。日本のしいたけや昆布などの出汁にあたるのだ。

もうひとつの例外が、今、旬を迎えたアスパラガスである。
成長力が強く、一日に20cmも伸びることもあるという。
穂先にはアミノ酸に一種である「アスパラギン酸」が多く含まれ、独特の旨みに富む。

日に当たり、葉緑素やカロテンなどを多く含むのが、言わずもがな、グリーンアスパラガスで、
遮光し、軟白化したものが、ホワイトアスパラガスで、
基本的には同じ品種で栽培が可能だ。

葉緑素やカロテンなどポリフェノールは若干のクセを持つ。
それがない分、ホワイトアスパラガスは、より純粋な甘みと旨みが強い。



昔は、ねぎと同じように土を高く盛り、光をさえぎったが、
出荷前に洗う必要があり、そこから傷みやすくなってしまったそうだ。
最近では、アスパラガスだけを覆う筒をかぶせたり、
畑全体を黒いハウスで覆って遮光する方法がある(冒頭の写真)。

2~3年前に、ホワイトアスパラガスが流行り
北海道でも単価のとれる野菜として、多くの農家さんが栽培を始めたのだが、
昨年から一気に栽培する方が減った。

答えは決まって「手間に合わないから」だった。

その中でも、りょくけんがお願いしている赤木さんは、ずっと続いている。
自分とは同じくらいの年で、奇遇だが、所帯を持ったのも同じ年だった。

家の本業は、ハム・ソーセージの加工だ。
傍ら、喫茶店も経営している。お父様の淹れてくださったコーヒーは絶品だった。

理想の高い方、と言って差し支えないと思うが、
理想の品種を求めて、ドイツにまで渡り、栽培品種を導入した。
トマトなどは、品種名で販売されることも多くなったが、
アスパラガスを品種名を出して販売されることは無い。

赤木さんは、数年の内に、アスパラも品種名で売る日が来る、と言うのが持論だった。
それくらい、品種間の品質の差があるのだという。

自分からは、病気が出れば、少しくらいは農薬を使用して安定出荷して欲しいと
懇願したこともあるのだが、
赤木さんは、農薬不使用を貫き、有機JAS認証も取得している。

正直、夏の暑い時期に、次から次へと出てくるアスパラガスを収穫しながら(2時間が限度だとか)
虫を手でつぶしていくのは気が遠くなる作業だが、
毎年、なんとか頑張っているのだとか。

毎年、4月の中旬~20日ごろには出荷が始まるのだが、
今年は雪が解けず、2週間遅れ、ようやく安定してきた。

かく言う私も、つい一昨日に初ものをいただいたばかりだ。
私は料理人ではないので、その年の出来不出来を確かめるため、
ほとんど味付けはしないのだが、今年は特に美味しかった。

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<素材の良さが分かるシンプルレシピ ~ホワイトアスパラ~>
◎届いたら、できるだけ早く調理する

1.ホワイトアスパラを洗い、皮をピーラーで剥く※2
2.剥いた皮を鍋に入れて沸騰させた後、お気に入りの塩※3をたっぷり入れ
 ホワイトアスパラをゆでる

3.歯ごたえがあるほうが良い場合は、3~4分、くたっとしたほうがよければ10分ほどゆでる
4.火を止め、数十分でも良いので放置する。茹で汁に出た旨みをふくませ、出来上がり。
 
※2 意外だが、グリーンアスパラよりも皮は固い。身を守るポリフェノール類が少ないからか。
※3 ヨーロッパから輸入したものは、えぐみがあるため、レモン汁とバターを加えるが、土質の違いもあり、赤木さんのものは必要ない。ノワールムーティエの塩など、ミネラル分豊富な粗塩がオススメ。
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穂先は馥郁として美味しく、下の部分は甘みが際立ってこれもうまい。

特筆すべきは、茹で汁。
とても良い出汁が出ているので、捨てずに、スープやブイヨンとして使って欲しい。
我が家では、玉ねぎ、人参、じゃがいもを入れて煮詰め、そのままいただいた。

ホワイトアスパラガス。野菜にして、旨みの宝庫である。

■ホワイトアスパラガス 北海道産 約200g 1,575円(税込)
 取り扱い店舗:りょくけん松屋銀座店りょくけん通販

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