農家さんが「自分も食べたい!」と思うトマト。

山崎さんご夫婦
「ぅ、うめェ~!」

会社に届いていた初もの、大玉の特選マルトマトを食べて、思わず笑った。

いつものようなガッシリした感じは無く、程よいやわらかなかたさで、ジューシー。
もちろん甘い。個体差はあるだろうが、10.4度あった。

『北海道の出始めのトマトはうまいよ。』

以前そう教えてくれたのは、やっぱり師匠の永田氏。

 また今年もこの季節がやってきた。

トマトの芽生え
北海道のトマトはまだ雪が残る3月から始まる。
種をまき、加温したハウスの中で、芽吹きを迎える。
それからおよそ90日。

育苗用以外のハウスは、まだ雪に埋もれたままだ。

他の産地※では、まず樹(ツルですが)を育てるため、水を比較的多く与えるため、一段目※は大玉にはなるが、味はのらない。

ところが、北海道は違う。

まだ肌寒い中、じっくりと時間をかけて育った“一段目のトマト”は、大玉でいて、中身も味もぎっしりなのだ。

「りょくけん しべつ 山崎農園」の看板の前で。
北海道は士別(しべつ)。旭川空港から車で二時間くらい北上したところに、もう20年以上もお付き合いいただいているご夫婦がいる。

山崎さんだ。

とても気さくなご主人と、表へ裏へとしかと支える奥さん。忙しいだろうに、りょくけんのお店のスタッフがお邪魔すると、毎回、特製のジンギスカンバーベキューで出迎えてくださる。

先日、訪れると、ちょうど初収穫&初出荷の日で、冷蔵庫にはトマトでいっぱいのコンテナがあった。
トラックで集荷される少し前に、

「これとこれはっと。」

大玉トマトをいくらか自家用に確保されていた。

意外かもしれないが、農家さんはまずA品は食べない。取引先に出荷し、収入を得るためだ。

でも今は、それは二の次。

「自分でも食べたい!」

つまりは、それだけ美味しいトマトなのだ。
フルーツトマトができる理由として、ストレスを与えると樹が子孫を残そうと実に栄養を送り甘くなる、と解説されるが、今の北海道のトマトは、そうではない気がする。

のびのびと育った中に、ぎっしりと栄養や美味しさが詰まっている感じだ。

夏の北海道トマト。いよいよ開始だ。

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 ※他の産地 …宮崎や静岡など。収穫時期も異なり、10月~6月頃の産地だ。
 ※樹、一段目 …基本的に、トマトはツルである。重力の感覚があるのか、自然に近い地這いで育てると、いっせいに実が生り、赤くなる。支柱を立てて、ツルを一本の樹のように育てると、下の枝から順番に育つようになる。作りこみしやすくなるほか、半年にも及ぶ長期収穫が可能になる。一番最初に花が咲いた枝を、『一段目』と呼ぶ。

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