野菜くだものの話)甘柿と渋柿

お店に立っていると

「これは渋柿?」
「はい、渋柿です。」
「え、渋いの?じゃあ要らない。」
「あ、いや…

みたいなやりとりがよくあります。

柿には渋柿と甘柿があります。
でも、日本の、一般的な流通業のお店で販売されている柿の中で、渋い柿は、まずありません。

渋柿は木の上で熟した後も果実に渋が残るものの事。
日本人は、干したり、焼酎をかけることでこの渋が抜けることを会得してきました。
(今ではもっと効率よく、焼酎ではなくアルコールや炭酸ガスで渋抜き処理をします)

それに対して、甘柿は、木の上で熟す過程で、渋も抜ける柿の事。
収穫後、すぐに食べられます。

ちなみに、皆さんは渋の抜けていない渋柿を召し上がったことがありますか?

私は何度か、あります。
「あまい!」と感じた後、すぐに舌を刺すようなピリピリ感と口の中がキーっとする感じが出ます。
しばらくの間、痛いです。

柿の長い歴史を見ていくと、甘柿は突然変異的に生まれたもので、もともとはすべて渋柿だと思います。全国的にも、渋柿品種の方が圧倒的に多いです。
甘柿には不完全甘柿と完全甘柿もあり、寒いところで育てると渋が出る品種も多くあり、遺伝的にはやっぱり渋柿の要素が強いと思います。

甘柿と渋柿はいずれも甘いのですが、しいて違いを言えば、日持ちや食感があります。
総じて、収穫から時間をかけて渋抜き処理をする分、渋柿はやわらかい食感で、日持ちも悪いように思います。

カリカリした固い食感がお好きな方には完全甘柿で種無しの次郎柿や陽豊がおすすめです。
ただ、この二つの柿も、1か月置いておけばやわらかくなり、ゼリー状の、いわゆる「じゅくし」という状態になります。

ところで、「渋抜き」と言いますが、正確には「渋包み」です。
渋はタンニンで、アルコール分などで、このタンニンを包み、人間の舌には感じないようにするのです。
そうすると目に見えるようになり、黒い点が、果肉に多くみられるようになります。
「黒ごまが多い柿は甘い。」と言われるのはそのためかもしれません。

日本や中国が原産の柿。
お好みの柿をぜひ見つけてみてくださいね。

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