草生栽培。ふわふわの畑。

昼食は「十割亭」という蕎麦屋さんに立ち寄った。
そば粉十割であることと、そばの実のどの部分を使っているかで何種類もそばが選べる。

我が家では、石原さんのところにいちご狩りをした後に、ほぼ必ずと言ってよいほど食べに行っている。
そばとてんぷらが美味しいし、何年か前のB級グルメ大賞の甲府鳥もつ煮もおいている。
駐車場も広い。

基本的にはみんなおなかがいっぱい。
苺もご馳走になり、落花生も、とうもろこしも丸一本すでに食べている。

と思ったが、さすがりょくけんスタッフ。
みんなぺろりと平らげていた。

最後の訪問地である、高橋さんの畑はそこから車で30分くらい。

桃の名産地、桃源郷ともいわれる一宮御坂(いちみやみさか)。
一宮という場所と御坂という場所を合わせて、そのように呼ぶ。
全国一位と言われる春日居(かすがい)もこの地域にある。

富士川周辺の扇状地で、地盤が石だらけ。
水はけが良い。

中央高速道路を東京から行くと、長い長いトンネルを抜けると目の前に、the盆地が広がる。
高速道路の両脇にも桃畑がある。
盆地特有の昼夜の気温差があり、糖度も上がりやすい。

高橋さんのご自宅と畑は、金川(かねがわ)という今は名前だけが残る川の扇状地にある。

下金川原(しもかねがわはら)の信号が見えてきた。
ここを曲がると、高橋さんのご自宅だ。

「右に曲がってください。」と運転手さんにお願い。

ただ、自分は方向音痴と自覚しているので、念のため、左も見た。
あ。

「すみません、間違えました、逆です。」
「お、そうですか、かしこまりました。」
文句も言わず、Uターンしてくださった。
小型バス、かなり小回りが利く。

「またですか~」とは通販スタッフの声。

でも何かおかしい。
道幅にもっと余裕がなく狭い記憶があったが、なんだか広い。
たしか両脇にかなりの水流の側溝があったような。
そしてそれが、たしか金川の跡だったような。

どうやら工事で、側溝にはふたがされ、道路が広く使えるようになった。

バスでも余裕をもって入ることができた。

「あ、あった、あった、この右の白い壁のお蔵が高橋さんのものです。高橋家代々の鎧が入っています。」
「へえ~」
「やはり武田の遺臣ですか。」と歴史好きの男性スタッフ。

高橋さんのご自宅の門は広いので、バスも優にバックで入ることができる。

高橋さんの家は、古くからの豪農らしく、庭には松があり、池があり、紫陽花があり、よく手入れされた庭園が広がる。
手前に重厚な屋根瓦の高橋家正さんのご自宅があり、同じ敷地の少し奥に息子さんの正孝さんの真新しいご自宅がある。

さらにその奥には柿や梅など、趣味の果樹があり、そこを垣根のようにした向こう側に、ぶどう畑がある。

3日前に、電話して訪問を快諾してくださった正孝さん。
その”垣根”の陰から、こちらをうかがっているのが見えた。

「こんにちはー。お世話になります!」と声をかけると
「あ、いやバスが入ってくるのが見えたから。」とつぶやく。

そういえば、大人数で行くとは言っていなかった。
もちろんバスのことも―。
普通はたじろぐ。

スタッフさんが続々とぶどう畑に到着。

「大人数ですみません~」
「お邪魔します~」

畑を前にして、草の良いにおいがする。

「わあ~」

目の前に広がる緑の風景にスタッフが感嘆の声。

足を踏み入れると「あ。なんかふわふわしてる!」
「ふわふわしてますよね。これが草生(そうせい)栽培の特徴なんです。」と大森。
除草をせず、草を生やすことで、余分な土地の肥料分を吸収させる。
草を刈るとそのまま土に返り堆肥となっていく。
そして土をやわらかくしてくれる。
だからふわふわする。

「きれいにしてますね!刈った後ですか?」
「午前中、(りょくけんの人が)来るっていうから、刈っといた。」とぽつり。
「ここが藤稔(ふじみのり)。」

高橋さんのぶどう畑は、手前から、藤稔、ピオーネ、シャインマスカットと続く。
藤稔は神奈川県の藤沢で生まれた品種で、大粒。
ピオーネより少しだけ早く出荷される。

「藤稔は、ピオーネや巨峰よりも大粒で、少し早い品種です。」と解説。
とはいえ、まだ緑で、粒は1㎝もない。
ところどころ赤い粒もある。

実は、この時期がぶどう栽培の最も忙しいとき。

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