永田さんのお野菜を食べてみたくて。

白い建物に、庭にはグリーンが散りばめられていて、印象的なおうちだった。

どういった経緯で連絡先を入手して、アポイントをとったか正直よく覚えていない。
出版社に問い合わせて、有元さんご本人の電話番号を伺い、直接お電話したような覚えがある。

「りょくけんってあの、永田農法の?」とぽつりとそう言われた。
翌週にはお会いできることになり、都内のご自宅兼事務所を訪れていた。

白が印象的なおうちは、中に通されると、さらに印象的で、すべてが真っ白だった。
壁などの内装はもちろん、家具や家電類まですべて。

そこに、有元さんがちょこんとお座りになっていた。

細身で、ひとみが大きくて、安室奈美恵さんがお年を召したらこんな感じなんだろうなあ、という印象だった。

とっても緊張したのを覚えている。

差し出されたお茶を一口飲むと、香ばしくて、とても美味しかった。

「このお茶、美味しいですね。」と思わず口に出た。

「棒茶よ。」といわれ、聞き返すと

「加賀棒茶。ご存じない?」という会話から始まった。

永田氏と一緒に伺ったのだが、完全に二人とも緊張していて、永田氏は話が止まらない。

松屋銀座との本格出店交渉中で、そこに出すお惣菜の監修を依頼するのが、半ば目的だったが、有元さんはそこが目的ではなかったので、はっきりした回答はない。

「私、お宅の野菜が食べてみたい。」

それが、有元さんの意図だった。

それから、オリーブオイルと野菜の相性の良さを伺い、そういうシンプルな料理を提供してみてはいかが?というアドバイスをいただいた。
そして、野菜を買えるかしら?と打診があり、電話いただければご用意します!とお答えした。

「感度の高い方を相手にしてみたら。そういう方がまた広げてくださる。」とありがたいお言葉も頂戴した。

交渉ごとは、成就しなかったけれど、なんだか光を示されたような気がした。

帰り際、駅前にあったイタリアンのお店に、二人で立ち寄り、昼食。

オリーブオイルを小さな素焼きの器に入れられ、これでパンを食べてみてください、と案内された。
二人とも、オリーブオイルでパンを食べたことが無かったが、これがとても美味しくて、なるほど、野菜を合うかも、と合点がいった。

1坪のお店として、松屋銀座店に仮出店中で、7月の本オープンに向けて、お惣菜を開発しなければならなかったが、なかなかうまく行っていないときのことだった。

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