"パッションは楽しい"
再び幹線道路に戻り、さらに南西に向かう。
今度はハウス。
でも人気がない。
「いないな。」
写真には納めなかったが、一つ目のハウスは、半壊していた。
「9月の(台風)24号でやられたハウスですね…。」
「そうですか、、、」
台風24号の被害は凄まじかった。
"10年に一度の強度だった"と、徳之島の方が口をそろえる。
二つ目の連棟のハウスを覗くと、生産者の富山さんが作業をしていた。
ハウスの中は、32度!
東京を出発した日の朝の気温は6度。
コートもきちんと着て、セーターも着て、マフラーもしていたが、徳之島はとても暖かく、日差しが出ると暑いくらい。
気温は20度くらいあった。
作業にあたっている作物を見ても、ピンと来ない。
「えっとこれは…?」
「パッションです。」
パッションフルーツ!
果実や花がなっていないと、なかなか判別が難しい。
「なるほど、パッションフルーツですか。たしか収穫は5~6月くらいですもんね。」
パッションフルーツはトケイソウの仲間で、花がとても美しい。
花を愛でる方の代表的な品種に、クレマチスがある。
訪れた時で背丈が50㎝ほど。
そこからさらに伸びて、まっすぐ上ではなく、横に向けて誘引し伸ばしていく。
「どうね、パッションは?」と名古さんが聞く。
「今のところ、良い感じだね。」と生産者の富山さんが答えた。
「あっちのハウスは、助成金とかで直さンの?」
繰り返しになるが、正直、島の人同士の会話は聞き取れない。
だが、公的な助成金の利用はしないで、そのままにする、という答えだったことはなんとなく分かった。
後で聞いたことだが、被害が大きすぎて、ハウスの業者さんが回りきれておらず、倒壊したままのハウスが非常に多いのだそうだ。
富山さんのパッションフルーツは美味しい。
ハリがあるきれいなパッションはまだ、食べごろではなく、シワシワになってからが美味しい。
一昨年あたりから定着し始め、お客様にも、その"シワシワ"が良いことが浸透し始めている。
「去年は、また、中身の充実度が良くて、ぎっしり詰まってましたね。あれはなんででしょう?」
富山さん、首をかしげながら
「なんでだろう?ハチのおかげかな?」
少し消え入りそうな声で、答えてくれた。
パッションフルーツの場合、露地であれば、自然に受粉させることが多い。
ハウスの場合、人間の手で花粉をつける。
マルハナバチを使って、受粉させる、というのは初めて聞いた。
ただ、受粉の仕方で、中の充実度が変わる、というのは、正直あまりピンと来ない。
「ところで、パッションフルーツは多年草ですよね。今年は植え替えたんですか?」
「3年は大丈夫なんですけど、うちは、毎年更新してます。」と富山さん。
「パッションの栽培はどうですか?」と聞くと
「パッションは楽しい。」と静かな笑みを浮かべて答えてくれた。
「農薬を使わないでできるのがいい。」と続いた。
固い殻に覆われたパッションフルーツは確かに虫がつきにくい。
ビニールハウスのように施設栽培であればなおさらかもしれない。
日に焼けた、人懐っこい笑顔を見て、あのパッションフルーツの質の高さを思い起こした。
「今年も楽しみにしてますね!」とハウスを後にした。
車の中で、再び、名古さんと会話。
「実は、富山さんは体を壊したんですよ。」
「え?」
物静かな印象は、それでか、と腑に落ちた。
「以前はハウスで花を栽培しててね。花は農薬をたくさん使うんです。それで体調を崩してしまって。」
「あ、だから、今、『楽しい』っておっしゃったんですね。なるほど。」
美島さんにせよ、富山さんにせよ、"農業を楽しい"って言ってくださっているのは、本当に嬉しいことだ。
台風でハウスがやられて、本当は大変だと思うのだが、そういったことを表に出さず、前向きに取り組まれているのが、とても刺激になる。
今度はハウス。
でも人気がない。
「いないな。」
写真には納めなかったが、一つ目のハウスは、半壊していた。
「9月の(台風)24号でやられたハウスですね…。」
「そうですか、、、」
台風24号の被害は凄まじかった。
"10年に一度の強度だった"と、徳之島の方が口をそろえる。
二つ目の連棟のハウスを覗くと、生産者の富山さんが作業をしていた。
ハウスの中は、32度!
東京を出発した日の朝の気温は6度。
コートもきちんと着て、セーターも着て、マフラーもしていたが、徳之島はとても暖かく、日差しが出ると暑いくらい。
気温は20度くらいあった。
作業にあたっている作物を見ても、ピンと来ない。
「えっとこれは…?」
「パッションです。」
パッションフルーツ!
果実や花がなっていないと、なかなか判別が難しい。
「なるほど、パッションフルーツですか。たしか収穫は5~6月くらいですもんね。」
パッションフルーツはトケイソウの仲間で、花がとても美しい。
花を愛でる方の代表的な品種に、クレマチスがある。
訪れた時で背丈が50㎝ほど。
そこからさらに伸びて、まっすぐ上ではなく、横に向けて誘引し伸ばしていく。
「どうね、パッションは?」と名古さんが聞く。
「今のところ、良い感じだね。」と生産者の富山さんが答えた。
「あっちのハウスは、助成金とかで直さンの?」
繰り返しになるが、正直、島の人同士の会話は聞き取れない。
だが、公的な助成金の利用はしないで、そのままにする、という答えだったことはなんとなく分かった。
後で聞いたことだが、被害が大きすぎて、ハウスの業者さんが回りきれておらず、倒壊したままのハウスが非常に多いのだそうだ。
富山さんのパッションフルーツは美味しい。
ハリがあるきれいなパッションはまだ、食べごろではなく、シワシワになってからが美味しい。
一昨年あたりから定着し始め、お客様にも、その"シワシワ"が良いことが浸透し始めている。
「去年は、また、中身の充実度が良くて、ぎっしり詰まってましたね。あれはなんででしょう?」
富山さん、首をかしげながら
「なんでだろう?ハチのおかげかな?」
少し消え入りそうな声で、答えてくれた。
パッションフルーツの場合、露地であれば、自然に受粉させることが多い。
ハウスの場合、人間の手で花粉をつける。
マルハナバチを使って、受粉させる、というのは初めて聞いた。
ただ、受粉の仕方で、中の充実度が変わる、というのは、正直あまりピンと来ない。
「ところで、パッションフルーツは多年草ですよね。今年は植え替えたんですか?」
「3年は大丈夫なんですけど、うちは、毎年更新してます。」と富山さん。
「パッションの栽培はどうですか?」と聞くと
「パッションは楽しい。」と静かな笑みを浮かべて答えてくれた。
「農薬を使わないでできるのがいい。」と続いた。
固い殻に覆われたパッションフルーツは確かに虫がつきにくい。
ビニールハウスのように施設栽培であればなおさらかもしれない。
日に焼けた、人懐っこい笑顔を見て、あのパッションフルーツの質の高さを思い起こした。
「今年も楽しみにしてますね!」とハウスを後にした。
車の中で、再び、名古さんと会話。
「実は、富山さんは体を壊したんですよ。」
「え?」
物静かな印象は、それでか、と腑に落ちた。
「以前はハウスで花を栽培しててね。花は農薬をたくさん使うんです。それで体調を崩してしまって。」
「あ、だから、今、『楽しい』っておっしゃったんですね。なるほど。」
美島さんにせよ、富山さんにせよ、"農業を楽しい"って言ってくださっているのは、本当に嬉しいことだ。
台風でハウスがやられて、本当は大変だと思うのだが、そういったことを表に出さず、前向きに取り組まれているのが、とても刺激になる。
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