光と海で育ったトマト。

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「外国へようこそ。」

港に着くと、そう言って、藏治さんは迎えてくれた。

長崎空港から車を走らせ、伊王島港からフェリーで10分くらい。かつて人口密度世界一を誇ったという高島は長崎半島の西部にある。

「『外国』ですか?」

「はい。外国に行くよりも時間がかかるんじゃないですか?むしろ。」

高島の鼻の先には、「軍艦島」とも呼ばれる端島があり、半世紀前まで、石炭によって栄えた。

石炭が石油に取って代わられると、衰退の一途をたどり、現在では無人島になっている。

その軍艦島の働き手たちのベッドタウンとして、高島は世界有数の人口密集地であったが、軍艦島の衰退とともに、人口は激減した。

長崎県が、歯止めをかけるため、産業を興そうと、トマト栽培に乗り出したのが10年ほど前。元知事と、永田会長が懇意にしていたこともあり、りょくけんがその栽培指導に当たっていた。

ところが、当時はうまく行かなかった。りょくけんも撤退し、引き継いだのが、崎永海運さん。再建の白羽の矢を立てたのが、当時、公務員だった藏治さんだった。

お付き合いしていたころは、品質にばらつきがあり、果形も乱れていて、評価が低かった。その後、当事者意識と、絶え間ない努力で、品質は向上。美しく、美味しいファーストトマトができるようになった。

一昨年、じゃがいもの名産地である長崎の愛野から、赤土を運び入れ、一気に品質が安定したという。

first tomato (2).JPG旧炭鉱病院を改装、選果場として利用している

ファーストトマトは栽培が難しく、正品率が低い。収穫量も少ない。そのため、近年、栽培を止め、桃太郎系のトマトを作る方が多いのだが、藏治さんは逆を行っている。昨年まで、桃太郎系のトマトも作っていたが、一切やめ、すべての作付をファーストトマトに切り替えたのだ。実際、それくらい評価も高かった。

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「島なんで、なんでも運ぶと2倍の輸送費がかかりますわ。」と藏治さんは嘆くが、一方で、

「この遮るもののない、光。そして風。これが島の利点ですわ。」と豪快に笑う。

四方を海に囲まれ、高い建物は一切ない高島。ふんだんに光が差し込み、風が適度なミネラルを畑に運ぶ。これらが濃い味を生むのだろう。

トマトは今からが最盛期。太陽と海のエネルギーをもらったファーストトマト。ぜひ召し上がってほしい。

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■ファーストトマト 長崎県産 高島トマト 100gあたり 473円(税込)

■トマトとなすのグリルマリネ 100gあたり 399円

■トマトとしょうがのサラダ 100gあたり 473円

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