うねうねの、むきむき。元祖りょくけんトマト。

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雨の日だった。

りょくけん本社のある浜松からでも、愛知の田原市は車で2時間ほどかかる。知多半島がぐぐっとせりだした、その先にある。

元祖りょくけんトマト=ファーストトマトの生産者 小久保さんは、かの地で今も、ファーストトマトを作り続けている。

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ファーストトマトという名前には、「一番のトマトに」という願いがこめられている。愛知県産が最も多く、今も作り続けている方が多い。

今は、桃太郎系のトマト品種が隆盛期だが、それ以前に、一世を風靡した品種だ。トマトのゼリー部分は液だれするものであり、サンドウィッチなどに挟み込むことが出来なかった。ファーストトマトは違った。果肉部分が多く、種の周りのゼリー部分がだれない。その点を評価され、全国に広まった。

りょくけんトマトの歴史もファーストから始まったと言って良い。糖度基準を決める際も、ファーストトマトの食味を基準にした。社内で食べ比べを行い、糖度が何度あると甘く感じるかをテストした。6度以上あると、舌に甘みが感じられることから、「完熟」の基準は6度以上となった※。

当時は栽培する方も多かったが、一人また一人と減り、今では、愛知の契約生産者さんは3名のみになってしまった。理由は簡単。もうからないからだ。栽培も輸送も難しい。病気にかかりやすく、収穫量が少ない。とんがったおしりが、上部にあたり、潰れてしまう。そうすると正品率も下がってしまう。

減少傾向は、愛知のみではない。以前は、高知でも宮崎でも作っていたが、年々、作付けは減っている。

周年栽培を志したこともある。北海道で夏の間に作ろうと試験栽培を行ったが、果形が乱れ、まったく正品にならなかったという。

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小久保さんに「なぜそれでも作り続けるんですか?」と聞く。

「やっぱりこれじゃなきゃ、と言ってくれる人がいるから。」

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むきむき、うねうねの、いかにも力強そうなトマト。桃太郎に比べ、甘さの中にも荒々しさがある。食べやすい桃太郎系のフルーツトマトはもちろん美味しいが、この少数派のファーストトマトのお味も、きちんと守り、伝えていきたい。

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■ファーストトマト 愛知県産・長崎県産 100g売り(1~2個) ~5月下旬ごろ

※桃太郎トマトの登場後、「6度」という基準は容易になり、今は「7度」以上が基準となっている。

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