パインアップルの話4 パインという単語。

日本語ではすでにブレがある。

パイン、パイナップル、パインアップル。
英語の発音に従うとすれば、パイナポーに一番近い?パイナップルが正しいのだろうか。

語源は、パイン=pine=松、アップル=apple=りんご に由来する。
「松のりんご」という意味である。

掘り下げれば、appleは、元来「丸い実」という意味だ。
聖書でアダムとイブが食べたのは、「りんご」という日本語訳もあるが、単に「禁断の実」とする訳も存在する。

そのブレの理由は、appleが、もともとが「丸い実」という意味だからに他ならない。

パイナップルは、アフリカで初めて見た英語圏の人たちが、松の実である松ぼっくりにも似ているから、この名前を付けたのだと思う。

ヨーロッパの言語では、このappleを語源とする単語が多数あり、面白い。

例えばドイツ語では、
Appfelはりんごという意味。
しかし、ちっちゃなりんごを意味するAppfelsinは、オレンジを意味する。
他に、大地のりんごKartoffelは、じゃがいもを意味する。
フランス語でも大地のりんごpomme de terre はじゃがいもの意味だ。

イタリア語では、トマトが、アップルだ。
ポモドーロ=pommo d'oro は、文字通り訳せば、「黄金のりんご」の意味だ。

ちなみに、パイナップルのヨーロッパ語はアナナス ananasだ。
フランス語も、イタリア語も、ドイツ語も、スペイン語も、ananas。

ここで興味深いのが、私が専攻したポルトガル語。
唯一、パイナップルに当たる単語が二つあるのだ。
アナナスananas もあるが、アバカシ―abacaxiという単語も存在する。
日本のポルトガル語教育(注 当時)では、ヨーロッパのポルトガルではアナナスを使い、ブラジルのポルトガル語ではアバカシ―を使うと習う。

だが、留学中にブラジル人に聞いたところ、アナナスとアバカシ―は違う、という。

例えになるかわからないが、言語によって、なんというか、分類が違うことはよくある。
日本語では「ワニ」だけだが、ヨーロッパの多くの言語で、クロコダイルとアリゲーターに相当する単語があり、それぞれ違う、という認識だ。
日本語では○○イルカなのが、英語では○○whaleと言ったりする。
ひどいのは魚だ。
日本では、アジとサバは全く違う魚、という認識だが、英語ではサバはmackerel、アジはhorse mackerel。
銀だらという魚があるが、まったくタラの仲間ではなく、むつとかメロウに近い魚で、おそらくスペイン語でいうメルルーサだと思う。私が学生の時は、タラの一種、と訳されていたが…。

話が少しそれたが、アナナスとアバカシ―は違うらしいのだ。
アナナスの方が大きく、アフリカ原産。
アバカシ―の方が小さく、ブラジル原産、だというのだ。
アフリカ大陸と南米大陸は、はるか昔、一大陸であったことは事実のようだから
袂を分かつとき、それぞれに進化を遂げた、ということだろうか。

ひょっとすると、台湾系のパイン品種は、このアバカシ―から改良されたもので、
だから一般的なパイン(スムースカイエン種)と外観やサイズが違うのかもしれない、と思うようになった。

今期こそ、現地=台湾を訪ねたいと思っている。
ジュース工場と、品種改良の最前線も覗いてみたい。

興味は尽きない。

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