照喜治さんと私8。
白い塊が貝殻 |
一つ一つに列に、白い札が立てられており、何が、どのように植えてあるのかが分かった。
「バジル、貝殻」
「バジル、マルチ」
「オクラ エメラルド」
「オクラ 在来」
etc...
SKIPに一年勤めていたとはいえ、野菜にはほぼ素人。
照喜治さんの庭はさながら夏野菜の教科書のようであり、わくわくした。
後になって、いろいろ農家さんの畑を回るようになってから分かったことだが、数種類の野菜をあそこまできれいに、整然と植えられている畑は、そうはない。
かなり丁寧に手が入った畑だった。
まるで箱庭。
黒マルチビニールシートで土を覆った畝。 |
「こちらの列のバジルは、赤土のままマルチでおおって、こちら側は、地中海の土質を再現するために貝殻を入れ込んでいます。」
「へえ~。」
「食べてみてください。」
「あまり苦くない。でも濃い~。」
「次はこちらを。」
「ちょっと苦いかな。いややっぱり変わらないかな…。」
正直、バジルの味の差は、僕にはわからなかった。
やや無表情になった照喜治さん…。
マルオクラはやや歯ごたえがあるが、ポリポリして、甘みがあって美味しい。
SKIPでは、大分の国東のマルオクラを扱っていた。
大分のほうがやわらかで粘りがあったか。
先輩に聞いたら、それは気候条件が全く違うからだった。
国東は、霧が立ち込めるような場所で、水田後に栽培する。
浜松よりも湿度と地下水が高いから、水分が多くなり、やわらかく、粘りが出る。
「味は、会長のほうが濃いと思うけどね。」
「さて。暑いからお茶でも飲みましょう。」
会長宅は、同じ敷地内に離れがあり、自家製のテラスがあった。
手作りのひさしと手作りのテーブル、いすが並べてあって、休憩がとれるようになっていた。
その向かいには小規模ながらビニールハウスもあり、何を隠そう、この中に、例のイチジクがなっていた。
その時はまだ知る由もなく、会長と秘書?の女性の方が入れてくださった緑色の飲み物を飲み、それが何かを当てることに必死だった。
会長は車を運転しなかった。
畑作業もできる、パワフルな秘書 兼 助手みたいな方とたいてい一緒に行動していた。
緑色の飲み物は、お茶のようでいて、そうでもなく、抹茶のような、それでいてすこ~し青臭いような…。
分からなかった。
「わからない? ―これはブロッコリーの粉末です。」
りょくけんでも、トマトジュースに続く緑の野菜ジュースを作りたいという思いがあった。
が、実際は非常に難しく、野菜の緑は、すぐに参加してしまい、茶色になる。
冷凍か、粉末か、と悩んだ末に、とても優れた粉末化の機械が誕生し、粉末を始めたと聞いている。
「これは、ブロッコリーと言っても、ブロッコリーの葉を粉末にしたもので、そのほうがいつも食べている花蕾の部分よりも栄養価がずっと高いんです。」と照喜治さん。
自作の門。この向こう側にも畑がある。 |
「帰るよ。」と先輩に促され、再び都田の社屋に戻った。
暑い暑い夏の日だった。
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