J-GAPという考え方。

J-Gapという言葉を聞いたことがあるだろうか。

Good Agricultural Practiceの略で、日本語では、農業生産工程管理と訳されている。

旧りょくけんが関わっていた静岡のルーツファームというところでも取得したことがある。
いわば、農業のISOといえば、分かりやすいだろうか。

きちんと、企業として必要とされることをしていきましょうね、という共通のルールで、ごみの分別から始まり、従業員の連絡網などが細かに決められている。
農業の場合、ここに、農薬や肥料の記帳や報告、残留農薬の検査も義務付けられる。

その、世界共通版が、GAPであり、日本の現状に合わせたものが、J-GAPだ。

ルーツファームが取得した当時は、まだハシリの制度で、取得する企業的なメリットが少なく、認可を求める企業がきわめて少なかった。

ルーツファームは日本で3番目に取得した農場だった。

最近では状況も少し変わり、例えば、大きな企業団体「イオングループ」や「セブンアイグループ」では、金銭的な上積みはないものの、取り扱いを優遇するとされており、どんなに市場に過剰状態でも、優先的にお取引されるような保証が与えられているようだ。

そんな効果もあり、だんだんとJ-GAP取得の農業団体も増えてきた。

小林さんもその一人である。

「何をもって安全とするのか。”有機だから”、”無農薬だから”、”自然に優しいから”、そういう言葉で”安全”としたくないんですよね。」

りんごの木は、極めて病気に弱く、虫もつく。
「奇跡のりんご」と言われる木村さんの例は非常に限定的な例で、りんごの”真の無農薬栽培”は不可能とさえ言われている※。

「一番栽培に向いているという、りんごの原生地=コーカサス地方だって、無農薬では栽培できない、って言われているんだから。」
小林さんが熱っぽく語る。

「だったら、きちんとその(=農薬)の役割を認めて、法律の範囲内で使うものは使って、残留農薬検査をして、結果を示したほうが良いじゃないですか。」
小林さんの考え方は極めてはっきりしていた。

電信柱がいささか景観を損ねているが、奥に見えるのが浅間山。道路の両脇が小林さんの園地。
そんな農業談義をしながら、佐久の、まっすぐに整備された通りを車で駆け抜けた。

10分ほどで、園地に着いた。
農免道を挟んで、両脇に、小林さんのりんご畑が広がる。

こちらも、理路整然ときれいに整備されている。
浅間山もちらっと冠雪し、本当に美しい景観を呈している。

周りから一段、50cmくらい掘り下げられた園地に足を踏み入れた。

「少し葉の色が濃いのかな…。」

※木村さんは、食品としても認められている「酢」を畑に散布する。
酢は酢酸であり、農薬の登録がされている。つまり、「農薬」のひとつ。

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