雪の下人参ジュースの話2

先代の雪の下人参ジュースラベルデザイン
2009年のことだった。

りょくけんの販売部長の永田まことさんの同期の方が千葉で新しくできる会社に勤めるという。
そして、レトルト殺菌庫をもつジュース工場も併設させれるから、そこで、人参ジュースを作ろう、ということになった。

青天の霹靂だった。

人参ジュースは、レモン果汁を加えるか、100度を超える温度で殺菌しなければならない。

りょくけんが選択したのは後者だったが、中小の工場では、まず存在しない設備だった。

上場一部の大手食品会社と、千葉を中心に農業に携わる会社が手を組み、農産物のいわゆる6次産業化を目指して
巨大な冷蔵庫とジュース工場を併設した施設を立ち上げたのだ。

その工場に、貴重なレトルト殺菌の設備が入った。
レトルト殺菌は、水を加圧をすることで、100度以上に温度に上げることを可能にする機械だ。

すぐに製造が決まり、2016年まで大人気の商品となった。

「ほかの人参ジュースにはない風味。」
「あま~い」
「これなら飲める」

と大好評だった。

ところが、だ。

またもや工場が閉鎖となってしまった。

これにはいくつか理由があったが、一番大きいのは掲げる理想が、理想のままだったことだろうか…。
立ち上がった新しい会社は、農作物の安定供給とロスを出さないことが第一の目標だったように思う。
優れた冷蔵施設を持ち、にんじんを保管すると半年は持たせることができたそうだ。

農産物は、とかく天候の影響を受け、相場価格が上下する。
そこで、保存施設を作り、価格が上下しないようにコントロールするのが目的だった。
ジュース加工も、その目的を達成するために欠かせない設備だった。

が、農家さんたちの考えがそこに追いつかなかったように思える。

"豊作貧乏”という言葉がある。

たくさんとれると、市場価格は下がる。
逆にたくさんとれないと、市場価格は上がる。
出来の悪い、収穫が悪い年は、物量が少なくなるので、市場価値が上がり、高騰するわけだ。

会社は、安定させたかったのに、市場価格が上がった時には、野菜が入荷しなかった。
農家さんは市場に出荷したほうが、高い値が付き、お金になるから、会社に出荷しなかった。

農作物の商いをするとき、これは避けて通れない課題だ。
りょくけんだって、例外じゃない。

それを、産地に赴き、生産者サイドと信頼関係を築くことで、これまで乗り越えてきた。
もちろん乗り越えられなかったこともしばしば。。。

とにもかくにも、2016年を最後に、にんじんジュースの製造がまたも暗礁に乗り上げてしまった。

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