農薬 ”使用禁止リスト”→”使用OKなリスト”へ。

無農薬栽培、減農薬栽培や、特別栽培のことに触れたからには、もうひとつ、ポジティブリストについて触れなくてはならないだろう。

2006年に施工された制度で、それ以前は、農薬は”禁止農薬”のリストがあり、禁止されなければ、どの農薬でも使用して良かった。

輸入された農作物の長ねぎ、ほうれん草、椎茸などから、日本では一般的でない古い農薬成分が検出されたのが契機だったと聞いている。

一方で、新しい農薬が開発されると、「よく効く」ので、農家から有難がられた。

2006年のポジティブリスト制の施行で、農薬は登録制になり、使ってはダメな農薬から使ってよい農薬に変わった。
使用できる農薬は激減した。
登録するには、農薬メーカーは試験を行い、きちんとした資料を作らなければならない。
初年度は試験が追いつかず、使用できる農薬が減った。

農家さんや農薬メーカーがかなり混乱したことは事実だが、10年が経過し、今考えてみても、本当に革新的な制度だったと思う。

「最近の農薬は弱くなって、散布回数を多くしなくてはいけなくてね。」

という言葉も聞く。
強力な農薬を散布すれば、一回で済むところ、弱い農薬を、こまめに撒かなくてはいけなくなった、ということだ。

農家さんにとっては、手間暇が増えてしまったかもしれないが、それまで農家の自主的な倫理観によっていたものが、きちんと法制化され、安全安心の部分は大きく向上したと思う。

いやな話を付け加えておくと、この2006年から2008年まで、農薬関連で違反が増え、出荷停止になった農作物が多発した。

関連記事↓
http://www.mac.or.jp/mail/070601/04_list8.shtml

多くが、意図的なものではなく、「昨年までは使ってよかったから。」などの勉強不足や甘い認識に基く。
過去に使用した農薬が、残留農薬検査によって検出された例もあった。
ヘプタクロルという強力な農薬がある。
1972年には使用が禁止され、2006年当時には使用すらしていなかったが、2006年と2007年と相次いで検出されてしまった。

前世紀の農薬行政がいかに未整備だったかを物語る事象であった。

生協さんだったり、大地宅配さん、らでぃっしゅぼーやさん、OISIXさんなど大手の流通業者が自主基準を設けてきちんと管理しなければ、安全安心が担保とならなかった状態から、格段に進歩したといえるだろう。

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