さしすせその「し」

塩。
砂糖と並んで、世界中で使用されている調味料だ。

りょくけんでは、以前はフランスの「ノワールムーティエの塩」を販売していたが、すごく有名になり、比較的どこでも手に入るようになってしまったので、10数年前に他の塩を選ぶことにした。

塩を選ぶポイントはいくつかあるが、りょくけんでは以下のように考えた。

1.×岩塩、○海塩
2.×内海
3.◎天日干し

1.×岩塩、○海塩
 岩塩は、何億年という単位で堆積した鉱物から塩化ナトリウムこと、”NaCl”が結晶化したもの。
 かなり純度が高く、他のミネラル分が少ない。
 岩塩というと、塊になった塩を砕くかのようなイメージがあるが、加熱して溶解してから、再度使いやすい大きさの粒に結晶化させる。
 ミネラル分が少ないという一方で、嫌なことを言うと、水銀、カドミウムなど人体に害のある一種のミネラル「重金属」が含まれている確率が高い。
 典型的なのが、アルプスの岩塩だ。
 周辺のドイツ、オーストリア、スイスなどの平均寿命が短いのは、この塩のせいだという人もいるくらいだ。
 ただ、重金属の問題は、日本も蚊帳の外ではなく、農薬よりもずっと重いテーマなのだが、ここでは触れないでおく。

2.×内海
 日本海が典型なのだが、陸に囲まれた内海は、汚染されると逃げ道が無い。
 日本海の美しさはよく知っているつもりだが、対岸の中国では海洋汚染が激しく、韓国沿岸からも海苔養殖に使用する農薬が流れ着く。
 瀬戸内海もまたわかりやすい例かもしれない。
 大都市である広島と四国北部の瀬戸内工業地域からは工場排水が流れ出る。
 おおよそ、カキなど貝がよく育つ場所は、海水があまり美しくない…。
 貝は年からの汚物を食べて浄化する。
 貝の養殖などに適した場所は、海が美しくないことと表裏一体だ。

3.◎天日干し
 原料の海水もさることながら、製造方法も重要なファクター。
 食塩=塩化ナトリウムは、イオン透膜法と言って、簡単に言えば、浸透圧を利用したフィルタを通して、塩化ナトリウムだけをろ過する画期的な方法。
 某大手A社は、瀬戸内海の海水をイオン透膜法で、塩を生成し、「国産 瀬戸内の塩」と言って売り出している。
 切り取り方がうまく、消費者には訴えると思うが(りょくけんが考える)肝心なことを完全にスルーしている。
 
 日本では伝統的に釜炒りの方法がとられてきた。
 かいつまんで言えば、釜に海水を入れて煮詰める方法。

 これに対して、天日干しは、長期にわたって、海水を塩田に置き、干す。
 太陽の光は偉大で、この工程で、ぐっとうまみを増すらしいのだ。

1や2はともかく、3つ目のポイントにおいては、もはや日本では皆無…。
塩田を確保するための土地代も、人件費も高価な日本ではもはや商業ベースにのせることは難しいだろう。

そして、もう一つ、日本を揺るがす大事件が起こってしまう。

コメント

人気の投稿