ミニサイズの野菜くだもの2。

ミニサイズの野菜くだもので、りょくけんと成功しているのは、二つくらいか。

一つは“こどもエリンギ”。
大手キノコメーカーが、キノコ嫌いの方でも食べられるものがないか、と探し出した、ヨーロッパ原産のキノコ品種。
クセがなく、独特のしっかりした歯ごたえで、確かに食べやすい。
施設の中菌床で栽培するのだが、大きな株がひとつ二つでき、それを収穫してパック詰めして販売されている。

この時、実は大きな株の周りにそれ以上の数の小さい株ができる。
こちらは”芽”が出てきたころ。
少し分かりづらい株だが、中央の二つだけが、エリンギとして出荷されるエリンギ。

「知り合いのキノコ屋が、小さいエリンギの処理に困っていて、大森さん所で何か使えませんか?」

静岡の長谷川さんから、そんなご紹介をいただいたのがきっかけだった。

長谷川さんは、マッシュルーム栽培の日本の先駆者。
富士市で、もともとは、みかんやキャベツを栽培していた代々の農家だったけれど、天候に左右され、市場に単価を委ねる※やり方が嫌でしょうがなかったらしい。
一念発起、これは、と思ったのが、マッシュルームだった。
マッシュルームの国産化は、当時まだできていなかった。

そこで、長谷川さんはオランダに渡り、一から勉強し、資材や設備もすべてオランダから輸入し、オランダ人技術者を招き、マッシュルームを日本に根付かさせた。

私の野菜くだものの師匠である永田と長谷川さんがお会いしたのは、静岡のとあるとんかつ屋さんだったと聞いている。
大手スーパーさんの話をしていたら、

「私もそう思いますよ。」と長谷川さんから話しかけてくださったそうな。
そこから意気投合し、現在に至る。

中小のキノコ農家さんは、キノコが菌類なので、ほかの属に所属するキノコを栽培しない。
変に菌床や土壌にほかのキノコが入ってしまうのを嫌う。
複数のキノコを大々的に栽培しているのは大手のメーカー2社くらいだ。

その大手に対抗しようと、キノコ農家さんは横のつながりが結構強い。
特に長谷川さんは、全国津々浦々のキノコ農家をよくご存じだ。

そうしてご紹介いただいたのが、小さなエリンギ。
厨房に聞くと、エリンギは大きくても結局切って調理するので、小さいものでも構わない、と言う。
半割やそのままですぐ使えるのはメリットがある、という。

調理専用で導入したつもりだったが、当時の店長が、いや、売り場でもちょっと売ってみたい、と言って販売し始めた。

"こどもエリンギ"の誕生である。

福島の農家さんで始まり、被災後は山梨の加賀美さんにお願いしている。
販売は安定していて、本当に、何がヒットするか、わからないものだ。

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