「8年ぶりかの。」⇒訂正12年ぶりでした。

車を降りて、納屋に入ると、収穫用の黄色の籠を反対にしてドカッと座って煙草をふかす石丸さん(お父様)がいた。

「りょくけんさんがはるばる来てくれたよ。」と石丸さんがご紹介くださった。

「お久しぶりです。」
「お、おおう、これはこれは。8年ぶりかの。」
「はい、たしかそのくらいです!」
8年ぶりだと、農家さんによっては、『もう顔も覚えとらん』と言われることもあるのだけれど、石丸さんは覚えてくださっていたようで、嬉しかった。※
12年前の石丸さん。

「これははるばるようこそ。」
「石丸さん、全然変わらないですね。」

柔和なしゃべり方も、柔和な笑みも、端正な顔立ちも、全然変わらない。

「いやいや何な。腰が痛い、足が痛い、とだんだんとあちこちがの。」とゆっくり立ち上がって、倉庫からジュースを取り出してくれた。

「はるかのジュースだ。糖度も19度くらいある。」

5年位前から、ジュースには凝ったので、けっこういろいろな柑橘のジュースを飲んだ。
結論としては、オレンジ色の柑橘のジュースはほぼどれも同じ味。
果実を食べるほどは、味が変わらない、というのが私の持論だ。
果実の時は明確に違うフレーバーが、ジュースにすると、特徴がなくなってしまうのだ。

黄色の柑橘は、また別の話で、酸味がおとなしいはるかのジュースには興味があった。
他社のはるかジュースを飲んだことがあるが、加工が悪いのか、皮の苦みが目立って、今一つだった。
原料の糖度も低かったのだと思う。

島にある加工所で搾ったというはるかのジュース。
石丸さんのは、もしかしたら…と思って飲んだ。

「あ、美味しい。美味しいですね。」

静かに笑う石丸さん。

「柑橘のジュースは、たいがい同じような味になるんですが、これは、明確に違いますね。」
「そう、そうなんよ。はるかは独特の風味が出る。特に今年のは、最後の最後に残っていたものを搾ったせいか濃くて、こうなった。」
「そうなんですね。」
「ただ、このコンテナいっぱい持って行って、1Lが5~6本しかできなかった。」
「それは贅沢ですね。」

コンテナがおおよそ15㎏~20㎏くらい入るので、歩留まりが20~30%くらいしかなかったことになる。
大手メーカーであれば、みかんの60%くらいとれるのだから、かなりの効率の悪さになる。

「まあ、こういうので私らは利益を求めないので、青果で売れなかったら作る、くらいのスタンスでね。」

そう、それは正しいと思う。

ジュースは一年中その美味しさが楽しめる、という利点があるが、経営的なことを言えば、加工費がプラスでかかり、その後、都会であれば、保管料も必要になってくる。
そして、傷まないからよい、と思いながら、実は売れなければお金にならない。

原料代も加工賃も回収できないまま、倉庫費用だけが増えていく。

「そうですね、そうだと思います。」

「こんなのもあるぞ。」と次のは、石地みかんのジュースだった。
これも美味しい。

「美味しいですね!」

「おお。ビールもあるぞ。飲むか?」

昼の15時である。

「港にレンタカー置いてあるらしいから。」と息子さんが苦笑いして止めてくれた。

「そうか。」と残念そうな石丸さん(お父様)。

この、真面目そうで、茶目っ気たっぷりな感じが、石丸さんは楽しい。

※2007年3月に訪問していました。12年ぶりですね、、、
過去のブログはこちら↓
http://ryokuken.blogspot.com/2007/03/blog-post_15.html

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