三浦半島の先っぽで3。

「三浦もね、あんまり報道されないんだけど、台風ではだいぶ被害が出ていて。。。うちもハウスやられちゃったんだよね。」

2週間ほど前に冬作の出来具合を確認するためにキミさんと電話した際に、そんな話を聞いていた。
奥に歩を進めると、なるほど、確かにハウスが崩れていた。
3連棟の奥の2棟が特にやられている。

山の斜面を切り開いて、水平にした場所に建てられたハウス。
切削し、壁のようになっている土手に、ほぼはしごのような階段が設置されていたので、登って一望してみた。
登るのが好きな息子4人とも着いてくる…。

「いいよ、付いてこなくて。。。」

登ってみると、そこは先ほどの人参の畑。

「なんだ、つながっていたのか。」

そして振り返ると、ビニールハウスの骨組みがぐにゃりと曲がり、奥のほうが押しつぶされているかのようだった。
中の作物はトマトとアスパラガスで、ところどころ、ルーコラセルバティカの細い葉も見える。
ハウスが壊れたのは、トマトもアスパラもほぼ収穫を終えたときだったので、その後も、特段手を付けなかったのだとか。

「台風でつぶされちゃったんだって。」

ほぼ、はしごのような階段は降りるのはさすがに怖かったようで、「おお、これはやばい、これは。」などと言いながら、次男と三男は降りてきた。
四男は私が抱えて降りた。

「ここでブロッコリーを植えたの、覚えてる?」

「あ~覚えてる~~~。」と長男。
二年前、ハウスの手前の畑では、ブロッコリーの定植をキミさんとキイチさんがやっており、そのお手伝いを一株だけ長男が行った。

「それで植えた後、この下の畑に行って、木を切った!」
「そうそう、日陰になるから、って大きなを木をキイチさんが切ってね。よく覚えてるじゃん。じゃあ、そこ曲がって、そっちの畑を見よう。」

坂を降りていき、左に入って大きく曲がって一段下になったところに、畑がある。

こちらも、色とりどりのかぶが植えてあった。
白、あやめゆきかぶ、日野菜系の細長いかぶ。
あやめゆきは、地上に出ている部分が紫色に染まる、美しいかぶだ。
味も良い。
日野菜系の細長い株は、奈良の片平あかねかと思ったけれど、あとで聞いたら、”桜あかり”という品種の日野菜だそうだ。
日野菜は、細長いので、一見するとかぶには見えない。
まるで大根のような姿形なのだ。
だが、食べてみると、大根の触感ではなく、やっぱりかぶの食感。
面白いものである。

しばらく見ていたら、土手の木々の向こうに軽トラが一台止まった。

「オーイ!」

こちらに向かって両手を上げて振ってくれる人影。
声にも姿にも、覚えがある。
SKIP時代に撮影したもの。2004年当時。

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