春のラタトゥイユ。

ラタトゥイユが美味しい。

りょくけんでは、ユニクロの失敗を受けて、青果だけでなく、お惣菜にも取り組んでいる。
青果だけを販売していると、良い野菜を食べたくとも、調理する時間がある、あるいは気力がある人だけに、自ずとお客様が限られてしまう。

そこで、デベロッパーでもある百貨店側から、デリカの開発が出店の条件ともなっていた。

当時は、料理人もいなかったから、私と当時の永田社長と二人で考えたものだ。

料理専門の方を採用して、初めてできたメニューが、このラタトゥイユである。

野菜とトマトと塩とオリーブオイルで、こんなに美味しくなるのか、と思ったものである。

夏のお惣菜として、認識される場合もあるが、今、このトマトの美味しい時期=春はなおいっそう美味しい。

トマトが美味しくない時期は、りょくけんのトマトジュースを主に使うが、現在は、生の美味しいトマトがふんだんにあるので、それを使う。

フルーツトマトといわれる、この時期のトマトは、糖度8度以上。
それを煮込むのだから、さらに凝縮して、美味しくなる。

沖縄の、吉田さんの長なすに、宮崎の川越さんのパプリカ、北海道は北川さんの玉ねぎ(玉灯り)。
生産者限定の素材がクタクタになって美味しさを醸し出す。

春は、もうひとつここに、しまりを加える野菜がある。

セルリー※だ。

沖縄の、吉田さんグループのセルリーはグリーン系の味の濃いタイプ。
日本で一般的な白っぽい「コーネル種」は、病気に弱く、農薬を相当量使用する。

グリーン系のセルリーは農薬を少なくすることができる一方で、香りや味が強すぎて、戦後に再流通※したときに、日本人に受け入れられなかった。

時代は変わり、現在では「これ、味が濃くて美味しい」と評価される。

このセルリーが、ラタトゥイユに加わって煮込まれると、さらにキレが出て美味しくなる。

調味料といえる調味料は、塩のみ。

春の野菜の美味しさ、うまさが目いっぱい溶け込んだ、ラタトゥイユ。

おすすめですゾ。

※セルリー ・・・発音しづらいので、セロリと呼ぶのが一般的。英語はCerleryと書きます。日本の青果業界では、セルリーと正式に登録されているため、それに準拠しています。でも、そのうち変わるかもしれませんね。
※セルリーの再流通 ・・・秀吉の時代、加藤清正が、朝鮮半島から持ち帰ったといわれています。そのため、和名を清正人参とも読んだりします。セルリーは、にんじんと同じセリ科の植物です。明治の文明開化のときに、再度、セルリーは持ち込まれましたが、このときも広まりませんでした。本格的に流通するようになったのは、戦後で、食の西洋化と、コーネル種という比較的おだやかな香りと味の品種ができたためといわれています。

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