東京湾を臨みながら ~トマトジュースの話をする~2。
”支店長さんは、実物を飲んだことが無い。”
てっきり、展示会で、実物を飲んで、弊社にご興味をもたれたものと思っていた。
そうではないと分かって少し驚いた。
どこから説明しよう?
「弊社は、もともとトマト屋でして。」
永田照喜治が、なんとなく、水をあげないで育てるトマトが美味しくなることを体感して、ある雑誌に載ったトマトの原生地の写真を見て、”あ、これだ”と思って、甘いトマトの作り方を体系化したこと。
いわゆる”フルーツトマト”の元祖がりょくけんであること。
そんなやり取りが、美味しんぼ第七巻「大地の赤」に掲載されていること。
トマトジュースも、糖度によって3種類用意していること。
加工用トマトではなく、生食用の品種を使用していること。
順番に説明した。
「”フルーツトマト”は、日本独自の文化です。世界中、どこを見渡しても、こんなに糖度の高いトマトはありません。」
「良く分かりました。一線を画した品質のトマトジュースだから、コモディティのほうの価格に引っ張られず、独自路線で価格維持ができる、ということですね。いうなれば、くだものに近いわけだ。」
「まったくその通りです。」
「野菜と言う世界は、収穫量によって、価格が決まります。
先代の社長は、”農業なんて男の仕事ではない。
だって自分で作ったものが、自分で値段が付けられない。
どんなによいものを作っても、量で、価格が決められてしまう。”
そう言ってました。」
続けて、用意していた紙コップにトマトジュースを注いだ。
「それと、こちらは某大会社の無塩のトマトジュースです。昨日、スーパーで無作為に選んだものです。」
りょくけんのトマトジュース3種類。
レギュラー(糖度7度)
高糖度(糖度8度)
特選(糖度9度)
そして、他社さんのトマトジュース。
「では、シャッフルして飲んでみましょうか。」
ぐるぐるとシャッフルして、飲み比べが始まった。
「うん、うまい。」
「ん、これは…」
納得してうなづいたり、しかめっ面をしたり。
「これは、明らかに分かりますね。ぜんぜん違う。」
巣鴨信金の方々もうなづいている。
「なるほど、やっぱり違うものですね。」
その後は、上代の話をしたり、運賃の話をしたり、販売先や、加工をどこでしているのか、という話をした。
興味深かったのは、運賃である。
「配送コストはね、実は距離じゃないんですよ。量がまとまっていたり、頻度だったり、行って帰ってくるときにも荷物が載っているかだったり。そういうほうが、重要なんですよ。」
しばらく腕組みをした後、
「やっぱりアジアですかね。香港かな。」
香港は、世界のハブとして機能しており、日本からの荷物も、香港を経由して日本にやってくる荷物も多い。
香港に行った船が、復路で、積載が0ということが無いのだそうだ。
それだけに、配送コストが下がりやすい。
そして関税もない。
「ところで、これだけ全国に産地があるのに、北海道のものだけでジュースはつくっているんですか?」
お。
我々のこだわりの部分である。
「香りが違うんです。」
ジュースの香りってなんだよ?と思うかもしれないが、そこに、先代たちのこだわりがある。
九州などの暖地では、9月~10月にかけて播種を行い、まだまだ暑い時期に苗を作っていく。
11月下旬に収穫が始まり、だんだんと2月頃から糖度が上がっていく。
北海道は逆で、まだまだ寒い時期である2月に播種して、苗を作っていき、6月中旬から収穫がスタートする。
寒さを経験して、日数も掛かっていることから、収穫当初から糖度が高い。
この、気温が上がっていく中で育つトマトと暑い時期から気温が下がっていく中で育つトマトで、香りが違ってくる。
前者のほうが、香りが乗る。
実際、九州産のフルーツトマトのジュースを飲んだことがあるが、かなり物足りない。
糖度はあるのに、何かが足りない。
先代や私の師匠によれば、その、決定的な違いは”香り”なのだそうだ。
「とにもかくにも、”北海道産”と謳えるんですね。」
「はい、それは間違いなく。」
「それじゃあ、まあ、まず香港に提案してみますよ。出荷可能数をまた教えてください。」
「かしこまりました!」
まだまだ話して、いろいろ学びたいこともあったが、先方もお忙しいだろうし、巣鴨信金さんの方だって、この後の予定があるだろう。
レインボーブリッジを一望できるミーティングルームを後にした。
商談が決まれば、それはそれで嬉しいし、1時間30分、りょくけんと、トマトジュースについて話を聞いてくださったことに、気持ちがほわあっとしていた。
「こんなに時間とってもらえると思わなかったですよ。」とは巣鴨信金の方の言葉。
「展示会で、個別面談だったら20分だけですからね。」
ビジネスマッチングの展示会で、商談をしていたら、20分しか時間をいただけなかったそうな。
けっこう語りつくしたので、ラッキーだった。
電話して、出荷可能数を確認。
その場で、支社長と巣鴨信用金庫さんにメールで報告した。
やれることはしたので、あとは先方の返事を待つばかり。
私は、外国学部出身。
こんな商売があっても良いのかな、と思う。
てっきり、展示会で、実物を飲んで、弊社にご興味をもたれたものと思っていた。
そうではないと分かって少し驚いた。
どこから説明しよう?
「弊社は、もともとトマト屋でして。」
永田照喜治が、なんとなく、水をあげないで育てるトマトが美味しくなることを体感して、ある雑誌に載ったトマトの原生地の写真を見て、”あ、これだ”と思って、甘いトマトの作り方を体系化したこと。
いわゆる”フルーツトマト”の元祖がりょくけんであること。
そんなやり取りが、美味しんぼ第七巻「大地の赤」に掲載されていること。
トマトジュースも、糖度によって3種類用意していること。
加工用トマトではなく、生食用の品種を使用していること。
順番に説明した。
「”フルーツトマト”は、日本独自の文化です。世界中、どこを見渡しても、こんなに糖度の高いトマトはありません。」
「良く分かりました。一線を画した品質のトマトジュースだから、コモディティのほうの価格に引っ張られず、独自路線で価格維持ができる、ということですね。いうなれば、くだものに近いわけだ。」
「まったくその通りです。」
「野菜と言う世界は、収穫量によって、価格が決まります。
先代の社長は、”農業なんて男の仕事ではない。
だって自分で作ったものが、自分で値段が付けられない。
どんなによいものを作っても、量で、価格が決められてしまう。”
そう言ってました。」
続けて、用意していた紙コップにトマトジュースを注いだ。
「それと、こちらは某大会社の無塩のトマトジュースです。昨日、スーパーで無作為に選んだものです。」
りょくけんのトマトジュース3種類。
レギュラー(糖度7度)
高糖度(糖度8度)
特選(糖度9度)
そして、他社さんのトマトジュース。
「では、シャッフルして飲んでみましょうか。」
ぐるぐるとシャッフルして、飲み比べが始まった。
「うん、うまい。」
「ん、これは…」
納得してうなづいたり、しかめっ面をしたり。
「これは、明らかに分かりますね。ぜんぜん違う。」
巣鴨信金の方々もうなづいている。
「なるほど、やっぱり違うものですね。」
その後は、上代の話をしたり、運賃の話をしたり、販売先や、加工をどこでしているのか、という話をした。
興味深かったのは、運賃である。
「配送コストはね、実は距離じゃないんですよ。量がまとまっていたり、頻度だったり、行って帰ってくるときにも荷物が載っているかだったり。そういうほうが、重要なんですよ。」
しばらく腕組みをした後、
「やっぱりアジアですかね。香港かな。」
香港は、世界のハブとして機能しており、日本からの荷物も、香港を経由して日本にやってくる荷物も多い。
香港に行った船が、復路で、積載が0ということが無いのだそうだ。
それだけに、配送コストが下がりやすい。
そして関税もない。
「ところで、これだけ全国に産地があるのに、北海道のものだけでジュースはつくっているんですか?」
お。
我々のこだわりの部分である。
「香りが違うんです。」
ジュースの香りってなんだよ?と思うかもしれないが、そこに、先代たちのこだわりがある。
九州などの暖地では、9月~10月にかけて播種を行い、まだまだ暑い時期に苗を作っていく。
11月下旬に収穫が始まり、だんだんと2月頃から糖度が上がっていく。
北海道は逆で、まだまだ寒い時期である2月に播種して、苗を作っていき、6月中旬から収穫がスタートする。
寒さを経験して、日数も掛かっていることから、収穫当初から糖度が高い。
この、気温が上がっていく中で育つトマトと暑い時期から気温が下がっていく中で育つトマトで、香りが違ってくる。
前者のほうが、香りが乗る。
実際、九州産のフルーツトマトのジュースを飲んだことがあるが、かなり物足りない。
糖度はあるのに、何かが足りない。
先代や私の師匠によれば、その、決定的な違いは”香り”なのだそうだ。
「とにもかくにも、”北海道産”と謳えるんですね。」
「はい、それは間違いなく。」
「それじゃあ、まあ、まず香港に提案してみますよ。出荷可能数をまた教えてください。」
「かしこまりました!」
まだまだ話して、いろいろ学びたいこともあったが、先方もお忙しいだろうし、巣鴨信金さんの方だって、この後の予定があるだろう。
レインボーブリッジを一望できるミーティングルームを後にした。
商談が決まれば、それはそれで嬉しいし、1時間30分、りょくけんと、トマトジュースについて話を聞いてくださったことに、気持ちがほわあっとしていた。
「こんなに時間とってもらえると思わなかったですよ。」とは巣鴨信金の方の言葉。
「展示会で、個別面談だったら20分だけですからね。」
ビジネスマッチングの展示会で、商談をしていたら、20分しか時間をいただけなかったそうな。
けっこう語りつくしたので、ラッキーだった。
電話して、出荷可能数を確認。
その場で、支社長と巣鴨信用金庫さんにメールで報告した。
やれることはしたので、あとは先方の返事を待つばかり。
私は、外国学部出身。
こんな商売があっても良いのかな、と思う。
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