来夏と豆もやし。

中にいる方に尋ねると、

「山田君は上には住んでねーんだ。下に住んでるから。連絡先分かるなら電話しでみで。」

"上"とは沖揚平、"下"とは黒石である。

沖揚平の冬は厳しい。
一年を通じて、ここに居を構えるのは難しい。
確かお子さんもいらっしゃる。

そうなると、小学校他、様々なコミュニティも重要だ。

一本道には、民家がまったく見当たらない。

それはそうだろう、と思った。

携帯電話に電話をかけると「あ~すみません、下に居ます。住所は…」

ーということで、上がってきた元の道を再び降ることになった。

それでも道の両脇の風景がとてもきれいで、空気もひんやりしていて、悪くない時間だった。

20分くらい車で降りていって、言われた番地に向かった。
車を停めて、該当地区を歩いて探したが、見つからない。

豪雪対策で、どこの家も玄関の入口が高いところにあったり、サンルームのようなガラス張りの区画に、玄関が囲われており、表札がなかなか見えない。

中を覗き込むように見るのだが、はたから見れば完全に怪しい。

しかも表札があっても、住所の記載が無い。。。

それでもあきらめず、新しく移り住んだ方なのだから、家自体は新しいだろう。
お子さんがいらっしゃるのだから、子供用の自転車とかが止まっているはず。
そして車は、大型のワンボックスなのでは?

などと考えていたら、住宅の中から、

「大森さん?」と声をかけてくださる男性がいた。

山田さん!

「お久し振りです。」

7年前とほとんど変わらない風貌で、山田さんが現れた。
ご自宅に招かれ、奥様と一緒に迎え入れてくれた。

ご自宅は新しいが、玄関が広く、すぐ横にテーブルがある由緒正しい日本家屋のレイアウト。
素敵なおうちだな、と思った。

そこからは会社の紹介を今一度行って、もろこしのお礼から、課題、来期の夏のレタス、キャベツをご相談。

夏は、本当に朝から晩まで働くから、商品コントロールが難しいので、できれば、帳合を入れて欲しいことなど要望があった。

「ブロッコリーはいかがですか?夏は難しいのは重々知っているのですが。」

「ブロッコリーは、、、やったことはあるんですが、やっぱり僕には難しかったというか、、、収穫適期が短くて、少し遅れれば、黄色くなりますし、花も咲いてしまうので。」

「そうですよねえ。。。沖揚でもやっぱり難しいですか、、、」

「そうですね。ブロッコリーをやめてキャベツにしたことで、安定した、ということもありますし。」

話は飛ぶが、昨晩、夏の納会だったそうで、明け方まで仲間と飲んでいたそうで、だから、仕事場である上=沖揚平にいなかったのだそうな。
前週末に、お伺いしたい旨をお伝えしたら、「できれば午後のほうが…。」と言っていたのは、そのためだった。

とかく、夏のレタスやキャベツは不安定だ。
今年は、長野が早々にやられ、その後は、いろいろな危機を逃れながら、なんとかつなげた。

山田さんも、その辺りはご理解いただいていて、協力できるところがあれば、とのことだった。

「それと、目先の冬のことなんですが…。」

もうひとつ、興味のある野菜があった。

豆もやしである。

普通のもやしは水耕栽培。
タイや中国から輸入してきた大豆の仲間を、水で芽を出し、育てる。

山田さんの豆もやしは、地元で、幻と言われ、途絶えていた黒豆品種から、ほぼ温泉水を使って、土で育てたもやし。
15cmくらいの長さにして、収穫する。

ブロッコリーはとても残念だったが、もやしは今からとても楽しみ。

「年内に、できれば、サンプルをお送りしますよ。」

本格化するのは、年明け。

今から、どんなものなのか、楽しみである。

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