甘平という柑橘。

甘平(かんぺい)という柑橘がある。
粒々感があり、甘く、ジューシーで香りがあり、とても美味しい柑橘だ。

柑橘ギョーカイでは、いわば第三世代が大流行している。
第二世代が、みかんとオレンジの掛け合わせで、現在は、その掛け合わせ同士をさらに掛け合わせ、一段と優れた品種が次々と生まれている。

優れている、というには3つの要素あるように思う。

すなわち、
1.糖度が高い。
2.種がない。
3.手で皮が剥ける。
の三つである。

中晩柑類の雄、"デコポン"こと不知火の大ヒット以来、この柑橘を追い越せ、追い抜け、と必死になったのは、柑橘王国の愛媛だ。

そこで、生まれた有力品種が三つ。

愛媛果試第28号(紅まどんな)、
せとか、
そして、甘平だ。

西之香というオレンジみかんに不知火(デコポン)を掛け合わせて生まれた(のちのDNA分析で、不知火ではなく、ポンカンであることが分かった)。

平たく、とても糖度が高いため、甘平(かんぺい)と名付けられた。

手で皮が剥きやすく、無核つまり種なしで、極めて食べやすい。
じょうのう=うち袋も薄い。

糖度は優に14度を超えてくる。

実のやわらかさは、紅まどんなやせとかには劣るが、別に硬いわけではない。
香りも良く、少し皮を傷つけるだけで、ふわっとオレンジの様な香りが立つ。

ネックを言えば、栽培が難しい、ということ。
皮が、はぜやすく、正品率が低いのだ。

また、紅まどんな同様、愛媛県立の試験場で生まれているため、愛媛県以外での栽培ができない。
愛媛県民の税金で成り立っている試験場なので、当たり前と言えば当たり前なのだけれど…。

オレンジみかん同士の掛け合わせであることを述べたが、甘平は、さらに他のみかんの台木に挿し木をして、その品種特性を固定した。
だから、この交雑を真似したり、再現するのが極めて難しい。

農家の収入を支えるためにも、高値で取引される柑橘は必要なのだけれど、なかなか気軽に購入できる柑橘ではない、というのが、最大のネックか。

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