照喜治さんの認めた有東木のわさび。

 夏だったと思う。

庭で苦瓜を手入れする照喜治さん。

当時何かつけて訪れていた照喜治さんのご自宅=永田農業研究所で「わさびを売りたいんですよね。そういうのは、永田農法は難しいですよね、だって水で育ちますもんね?」

そんな暴言を照喜治さんに言った。

ブーゲンビリアが咲き誇っていました。”永田農業研究所”。


「いいのがあるよ。今度行ってみましょう。」


穏やかな笑顔を浮かべながら朴訥と照喜治さんは僕に言った。

照喜治さん。


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「明日行くからついておいで。」

突然電話がかかってきたのはしばらく経ってからだった。


「え、明日ですか?明日は…」言いかけたところで「大丈夫、次郎には言ってあるから。」と遮られた。


次郎とは、照喜治さんの実の息子さんで、りょくけんの社長。

当時の私のボスだった。


向かったのは有東木(うとうぎ)という場所。

浜松と同じ静岡県にあるが、旧清水市の、北部の山の中だったから、高速道路も使ったけれど、車で2時間以上かかった。

ふもとの”わさび栽培発祥の地 有東木”の看板から、川沿いのほぼ一本道を上がっていく。

有東木の入り口に立つ看板。

山の中のひっそりとした、木々に囲まれた地域で、霧がかっており、どこか神秘的な雰囲気を持つ集落だった。

有東木(うとうぎ)。お茶も名産。

わさびとお茶を特産とする集落で、農家もグループ化して、組合も組織されていた。

びっくりしたのは、会う人がみんな”白鳥”姓であること。


有東木は、白鳥さんという名字が特に多いのだそうだ。


畑は、川の支流を堰き止めて、わさびが植えてあった。

絶えず水が流れており、マイナスイオンを特に感じる。


案内してくれた白鳥さんが、試しに掘ってくださった。

たくさんの葉の下に、大きなわさびが埋まっていた。

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