永良部の朝。

4時にホテルについて、床に就いたが、これが、なかなか眠れない。
まずは右の部屋。
続いて左の部屋。

次々と深夜に帰宅してきたようで、声が丸聞こえで、気にしないようにしても、聞こえてくる。

結局、6時半になるまで、ろくに眠れずに起床した。
朝食を済まし、チェックアウトをしていると、生三さんが迎えに来てくださった。
60代半ばだと思うのだが、あれだけ夜更かししているのに、とても元気。

このバイタリティ。
どこかでも見たような気が。

薄明りの中、生三さんの車に乗り込み、まずは永良部の南へ。
道路は、数台の車のほか、ずいぶんと若い人たちが原付に乗って、道路を走っている。
不思議に思っていたが、どうやら地元の高校生たちの通学ラッシュだったようだ。

沖永良部島は、徳之島のようにきれいに南北に伸びた島ではない。
少し、南西にひしゃげている。

北部に知名町(ちなちょう)、南部に和泊町(わどまりちょう)があり、沖永良部島を構成している。

生三さんいわく、南部の和泊町の方が開けており、畑についても条件が良いらしい。
南西部にある畑に始まり、中部の山間の畑、また戻って南東にも畑。
ホテルに戻って、レンタカーに乗り込み、今度は生三さんの車に着いて行った。

「その方が、直接、空港に行けるから良かろう。」
「はい!」

北部のじゃがいも畑、ゆりやグラジオラスの畑も見させてもらった。

花は、農作物よりも価格の変動がゆるやかだ。
台風のおかげで、風が病気をリセットするのか、農薬もさほど多くなくて良いようだ。
しかも、ハウスではなく、木の杭を立てて、ネットで囲むだけの、比較的簡易な施設栽培。
種や株は、永良部に伝わるものではなく、オランダから生長が早いものをいち早く導入した。
一度、導入すれば、とは自家採種できるので、3年は使うそうだ。

前日にご自宅を拝見した際に、4t車にいっぱいの花の出荷箱も見た。
太田、築地はもちろん、仙台、横浜、浜松、大阪、などなど全国の市場の名前がついており、各々に出荷される。
その数量と、事業規模に本当に驚かされる。

いよいよ、一番早く植えたという畑に着いた。
真っ赤な土。
まだ青々した葉っぱだったが、生三さんが、体いっぱい使って掘り出してくださった。

「ほら、よくなってる。おもしろいもんだよ。作り手が変わると作物もぴちっとそろってくる。」

薄曇りの空だったが、何とか雨は降らず、ここまで持っている。
掘りたては、真っ白い肌のじゃがいも。
少し乾燥させると、黄色みを帯びてくる。

12月17日だったが、もう十分に収穫できる。

「ここなら、収穫も始められる。」

オリジナルの機械を導入して、収穫から、土を落とす作業まで、すべて一貫してできるように改善し効率化している。

「掘り始めたらあっという間よ。」

北部の知名町には、生三さんのご自宅もある。

知名町は、畑としては条件が悪い。
その条件の悪い畑から、裸一貫で始めて、今や島中に点々と畑を持つ。

本当にすごいシンデレラストーリーだ。
屋久杉の一枚板の机。

お屋敷に戻り、うん百万するという屋久杉の一枚ものの机や家具、つぼなどを見せてもらった。
縁側には、鯉の池もある。
丸々太った見事な鯉。

そして趣味の、盆栽も、なんだかすごい値のものらしい。

「大森君。奥へどうぞ。」と案内された。

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