永良部での失態。

田皆岬にて。
翌朝、飛行機で那覇に向かうのだから、と空港の近くに宿をとった。
―つもりだったが、実際は、港の近くだった。
朝、到着した港から「シーワールドホテル」の看板も見えた。

宿に着いて、沖永良部島、一周が完了。
ちょうど18時だったので、チェックインして荷物を置いたら、ちょうど約束の時間=18時半くらいになるだろう、と思った。

入り口から広いロビーで、ホテルマンの方を呼び鈴で呼んだ。

「予約している大森と申します。」

「ご予約ですか…? お調べします。」

何やら不穏な空気。

「恐れ入ります、こちらにご予約は無いようでして…。」
「え?」
「部屋は空いてますので、お取りすることはできるのですが、他にご予約があるようでしたら、そちらにもご迷惑をおかけしますので、念のため、お調べいただけますか?」
「はい、ちょっと、あちらの席をお借りして良いですか?」

急いでノートパソコンを開いた。

待ち合わせのこともある。

もし違うホテルならば、生三さんに、急ぎ連絡しなくてはいけない。

ようやくノートパソコンが起動し、アウトルックを開いて、予約を確認すると、"シーワールドホテル"ではなく、"観光ホテル東"というところだった。

「すみません、観光ホテル東というところでした。」
「あ、東さんでしたか。ちょっとこちらからは距離がありますね。」

車に飛び乗り、カーナビをセットして、芋高さんにも連絡して、ホテルに向かった。

「すみません、シーワールドホテルではなくて、観光ホテル東さんでした!」

距離はほとんどなかった。
ものの5分ほどで、近くに着いたのだが、どこなのかよくわからない。
市街地の真ん中にあり、3度同じルートをたどったが、入り口がわからない。
ようやく判明して、中に車を入れたが、駐車スペースがない。
車と車の間に、狭い隙間があったので、そこに入れようとしたが、途中で止めた。
車のお尻の部分をちょっと入れただけで、それ以上進むのはやめた。
ドアが開かなくなるし、ミラーが間違いなく隣の車に接触する。

携帯電話もかかってきた。

―芋高さんだ。

「すみません、今着いたところです。少々お待ちください。」

ロビーがどこかも迷ったが、何とかたどり着くと、すでに芋高さんはロビーにいた。
もう一つ正面入口があったようで、私は裏口から入ったようだ。

「大森さんですか!?あ、まだホテルにチェックインもしてなかったんだ、なんだ。」
「すみません、すぐチェックインしますんで。」

とろくに挨拶もせず、ホテルのチェックインを始め、部屋に案内してもらった。

ロビーのある建物と、宿泊棟は別棟で、先ほどの駐車場を挟んで、立っていた。
ろくに部屋も見ず、重い手荷物を置いて、ロビーに向かった。

「すみません、遅くなりまして!」

芋高さんは、ホテルの方と、薄暗い中、話が弾んでいた。
「120町畑をやってる。見てて、島のために頑張るからね。君みたいな若い人たちが島には必要だから、あなたも頑張って!」
そんな内容が聞こえてきた。

そして私の方を見やり、一言。

「もっと足の長い人かと思ってました。」

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