津嘉山(つかざん)とのご縁?

「自分が食べているかぼちゃは…」と金城さんが口にしたところで、私が制止した。
「いや、金城さんが食べている、とかではなくて、"沖縄のかぼちゃ"について教えてほしいんです。」
「あ、そうですか。えっと、まず実はグループとしても、名護の方で作っているかぼちゃを譲ってもらっています。でもそれは、本当に作ってもらっているのを譲ってもらっているだけで、作りこみとか、味とかはあまりアピールできないです。ただ、本当に”かぼちゃ”っていうか。。。」

冬季でも作れる、ということを利用したかぼちゃだ。

「さっき吉田さんにお会いして聞いたら、"ツカザン"っていうところが良いとか?」
「あ、そうです。市場でもすごいお値段でお取引されていて、それこそ、東京の料亭とかにはものすごいお値段で出ています。」と上地さんの妹さん屋比久さんが言う。
「それで、さっき金城が言いかけたのは、実は、お嫁さんのご実家が、その津嘉山で、かぼちゃをお作りになってるんですよ。」
「え?」

たちまちピンと来た。

「あ、そうなんですよ。嫁の実家に行くときにも、畑を見せてもらったり、もちろん食べたりしていて、『あ、うまいな』と思って食べてるんですけど、正直、食べ比べたことはなくて。」と金城さん。
「今年は、試しに、ハウスで宙づりにして作っていて、そういった試作もしてましたね。もしこれで良かったら、みんなに、『これで行ってみよう』と言おうかと思ってっていってましたね。」

南風原やその一地域である"津嘉山"では、まだ気温の低い時には小規模のハウスをかけて、大切に育てる。
大切に、というのは、日本の他の地域よりも、冬であっても日照が強いため、日焼けを防ぐために、かぼちゃをシートで包む、などの作業を行う。
ハウスなど施設については、他の島よりも、建設の補助金が出やすいという特性があるので、そんなに難しいことではない。

そして、宙づり。

実は、本州では、宙づりでかぼちゃを作付している産地はいくつか存在する。

あの、重いかぼちゃを、トマトやきゅうりのように宙づりにできるのか?と思われるが、答えは是、できるのである。

そしてかぼちゃの一つの技術である"皿回し"を行わなくて済む。

皿回しは、かぼちゃの土に面した箇所が色づかないのを防ぐため、常にかぼちゃの下に敷いた皿を回すことだ。
こまめにやる必要があるので、それなりに手間がかかる。

宙づりにしておけば、その必要がない。
以前、別の産地で拝見した宙づりかぼちゃ。

また、ツルを上にぶら下げることで、少し負荷がかかり、苦労して栄養吸収するために、締まったかぼちゃになる。

「それ、良いですね!」
「ええ、まあ。」
「いつごろから始まるんですか?」
「2月の中旬から4月まであったと思うんですが。」
「やりましょうよ!」と大森が言うものの、金城さんの反応はいまひとつ。

「家族とはいえ、あまり仕事に親族は、、、もちろん仲は良いんですけど。」

家族や親族で、一度もめると、あまりよくない。
青果でいえば、仮に、もし品質が悪ければ、きちんとそれを伝えなくてはならない。
それを舅に言えるか?その後、もめないか?などの不安は発生する。

「それ、わかります。そういうこと、いっぱい見てきましたから。いったんこじれると、親族は、、、でも最終的に、一番頼れるのも親族なんですけど、、、」と屋比久さんに視線を移した。

「そう、その通り、それ、すごくよくわかります。困ることもあるけれど、最終的に頼れるのは親族っていうのもありますよね。」と屋比久さん。

私は、まだ親族を仕事に本格的に巻き込んだことはない(せいぜい、長男をマルシェに連れて行って手伝ってもらったくらい)。
ただ、身近でも見てきたので、それを金城さんにお願いするのも、なかなか難しい。

「すごくわかるんですけど、もしちょっと話すことがあるようでしたら、ちょっと話してみてください。お話を伺っている限り、とても良い生産者さんだと思います。」といったん引くことにした。

その他、以前お世話になっていたレタスだったり、いんげんの他、"まーさんど"というジャンボインゲンも始まったから、とご案内を受けた。
2時間ほど話しただろうか。

17時を過ぎたところで、お暇することにした。
良い話が聴けた。

帰り道、那覇空港に向かう途中の道の駅で、Sさんにも電話をした。
接客中なのだろう、その時は、お出にはならなかったが、その後、折り返しの電話ももらった。

「ごめんね~。今日、夜ご飯でもどうかなあって思って?」
「あ、すみません、今晩帰っちゃうんですよ…。」

つくづく、失敗した。
もし一番に上地さんのところに行っていれば、上地さんにも会えたし、Sさんにも会えただろう。
コース取りや計画をもう少しきちんと立てておければ…と悔やんだ。
言い訳をすれば、二泊三日、会社を空けるので、その準備にはそれなりに手間がかかった。

道の駅で車を停めたまま、思い出したように、ノートパソコンを開き、給与データを会計士さんに送った。
振込は、明日の朝に行えばぎりぎり間に合う。

20時45分。

那覇空港からスカイマークに乗り込み、22時55分に羽田空港に無事に着いた。

そこから30分。
にんにくやら黒砂糖やらキビ焼酎を背負って、自宅に着いた。

今回は飛行機での移動が多かったので(何かトラブルがなかったわけではないが)、無事に帰宅出来て、ほっとした。

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