柿と私8。~陽豊柿を訪ねて2~

 西美濃で、ようやく出会えた陽豊柿の生産者さん。


突然のアタックだったけれど、思い切って訪ねた。


「お取引お願いできないですか!?」


「…。」


しばらくの沈黙の後、「無理だなあ。」と重い言葉をもらった。


「JAに全量納めていて、よそには出荷できないことになってるんだ。申し訳ないんだけど。」


食い下がることもできたかもしれないが、すぐに切り替えて、もう一つの産地を訪ねることにした。


本巣市軽海(もとすし かるみ)。


大きな鉢植えで栽培しているという柿には大いに興味があった。

水分をコントロールでき、間違いなく甘い柿ができる。


カーナビにセットして本巣に向かうと、今度は山奥ではなかった。

田園風景と柿の畑は確かにあるけれど、住宅も多いし、西美濃の山よりもずっと都会で、何しろ、平らだ。

りょくけんのくだものの産地の中では稀有な平野部。


りょくけんのくだものの産地と言えば、山だ。

美味しいくだものの産地の三条件は、1.日当たりが良い 2.水はけがよい 3.昼夜の気温差が大きい の三つで、それを満たすのが、南西向きの山の傾斜地。

最たる例かもしれないが、りょくけんのほとんどのくだもの産地が、山。


だけれど、本巣は平らな、平地だった。

こんな市街地の畑で、美味しいくだものが育てられるのだろうか?


どこまでも平らな場所は、後で分かったが、そこは濃尾平野だった。

美濃と尾張にまたがる豊かな土壌で、織田信長や斎藤道三が争った場所である。


だが、軽海は広かった。

というか、人家が多すぎて、見当がつかない。


14時を回ったところで、落ち着いて考え、畑を見つけたら、そこにいる方に、片っ端から聞いていくことにした。

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