柿と私15。~まめ柿~

 小倉さんがいたずらっぽく笑ってこちらを見る。


「まめ柿って興味ある?」


親指と人差し指で丸い輪っかをつくって、「これくらいのサイズの柿で、種なし。渋は抜かなくちゃいけないんだけど。試験場でできていたのをちょっと分けてもらってさ。」


「な~に、それ?試験場行って、もらってきたの?」と関谷さん。

「そう、ちょっとね。おもしろいねって、枝をちょっとさ。」


キョトンとした。


「この、鉢植えで育てると、柿は8年かかるところを2年から3年で育てられるの。だからもし、このまめ柿がモノになれば、たとえ人気が出ても、5年間は無双なの。他の方たちが実をならせるまでに5年はかかるから。」


なるほど、独占状態が作れるかもしれないのだ。


「来年にはなるから、できたら送ってみるから、まずは食べてみてよ。」

「あら、まずいなあ、小倉さんの柿だけじゃなくて、僕のも扱ってよ。」と関谷さんがおどけたように言ってくださった。


あれから、もう12年。

2014年には、まめ柿は商標登録がされ、研究していた近大チームが「ベビーパーシモン」と名付けた。


小倉さんとお会いした翌年、まめ柿はすでに実をつけ、りょくけんは先行してずっと販売している。


1年目で気づいたのだけれど、皮ごと食べれてしまう。

味はとてもよく、固いときにはサクサクとして、やわらかくなると、ジューシーできわめて甘くなる。

10円玉から500円玉くらいの大きさ。


細長い箱に入れると、手土産にはぴったりで、味と質ともに高い評価を得ていて、固定のお客様もついている。




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