柿と私4。~価値を上げる工夫~

 宇城さんの畑は遠い。


初めてお伺いした時には、浜松から大阪まで新幹線で向かい、そこから在来線に乗り換え、南紀白浜行きの急行に乗って二時間半くらい。

最寄りの海南駅から、車でさらに1時間くらいかかった記憶(あるいは印象)がある。


東京から行く場合は、関空か南紀白浜空港から車で海岸線沿いをひた走るのが良いが、どちらの空港からも同じように二時間くらいかかる。


文字通り、山の中にあり、立派なご自宅の周りに柿畑があり、前には富有柿、後方のさらに山に入ったところに、紀の川柿の園地があった。

台風が良く通る場所で、私が2回目に訪ねたときは、辺りに枝が散乱していて、ひどく強い風が当たったことを物語っていた。

宇城さんご夫婦

宇城さんご夫婦は、もともとサラリーマンだったこともあり、いろいろな仕事がきっちりしているし、息子さんと私が近い年齢だったこともあり、当時からとてもよくしてもらった覚えがある。


無理な緊急発注でも対応してくださったし、柿の品質も良かった。

ユニクロの野菜事業であるSKIPに所属していた際も、この、紀の川柿がとても好きで、お客様にご購入いただいて、「美味しかった~」と言ってもらうととても嬉しかった。


当時は、複数の農家さんのものを扱っていたようだが、現在では、宇城さんのみ。

高付加価値に成功はしているが、やっぱり作業は大変なのだ。

山肌に広がる宇城さんの柿畑

標高400m以上ある山の斜面なので、体力を使うし、柿の熟度を見極めて、ご夫婦で一つ一つ袋掛けし脱渋剤を入れていく。

傾斜もある

渋抜き用の資材は、いつ封入しても良いと言うものではなく、一定の時期=二週間くらいの間に袋掛けしていなくてはならない。

天候などの影響もあり、毎年、いくつかは袋掛けが追いつかない。

袋掛けをして、脱渋剤を入れる


最近では、この袋がけが追いつかなかった柿を干し柿にすることで、新たな収入源になった。

四等分した後に干しているので、一口で食べられ、とても美味しい。

羊羹のような甘さにしっとりした食感が、りょくけんでも人気を博している。

宇城さんの、一口干し柿


気になったので聞いたことがある。


「標高400m、赤土で、南西向き。もしかして、紀の川柿にしなくても、宇城さんの柿は美味しいじゃないですか?」

「ええ、そうですよ、そう思います。」


やわらかな関西弁の宇城さん。

2020年はどんなかな。

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