国産ブラッドオレンジ2025の状況。

 「大森君な、悪い、今年はないわ。今、山行ってみてきた度、全部ないわ、全滅。イノシシとトリに食べられよった!」


電話の向こうで、矢野さんがそう叫んでいた。

国産グレープフルーツ、国産アボカドと並んで、私が松屋銀座店オープン時から、ぜひやってみたいと考えていた国産のブラッドオレンジのことである。


柑橘類の原生地はインド北部と言われている。

そこで生まれた柑橘が、東に渡りみかんに進化し、西に渡ってオレンジに進化した。

そのオレンジの中でもイタリアシチリア島で独自に進化したのが、赤い果肉を持つブラッドオレンジである。


20年ほど前から、昨今の温暖化を見越して、日本よりも温暖な気候で育つオレンジを導入する動きがあった。

愛媛からシチリアに赴き、分けてもらった数本の枝から始まったのが、今の愛媛のブラッドオレンジである。

ブラッドオレンジには、主に3つの品種がある。

赤みは一番薄いながら、最も食味の良いタロッコ。

どす黒い赤で、生果よりも加工した際に良い風味を発揮するモロ。

黒い血の名を持つサンギネッロ。


いずれも、日本ではまだまだ積算温度※が足りず、主力のみかんよりも3か月以上遅れて、2月下旬から3月中旬ごろが収穫期になる。

樹上でなっている時間が、本家のシチリアよりも長いためか、酸味が穏やかで、オレンジらしさが際立つ。


愛媛の矢野さんの育てるタロッコはその典型的なもので、肌が荒れる潰瘍病さえ防げれば、とても美味しい国産ブラッドオレンジだった。

矢野さんの畑は、山の中腹にあり、愛媛の中でもブランド産地である”真穴(まあな)”という場所にあったので、高価だったけれど、販売も徐々に伸びて行った。


昨年は、特に人気だったので、全滅と聞いて、とても残念。。。


でも、そこで私は終わりたくない。

矢野さんには来期の獣害対策をお願いするとして、他の農家さんも栽培していることを私は知っている。


他の地域ではまだまだだけれど、こと八幡浜から松山にかけては、タロッコの栽培は広がっているのだ。

ところが、お声を掛けてみたところ、収穫量が今年は特に少なく、予約でいっぱいで、分けることはできないという回答だった。


では、栽培している方を紹介してください!と、ただいま懇願中。

この粘り腰が、近いうちに実ることを願っている…。


なお、赤みがより濃い”モロ”は、昨年に続き、静岡の岩井さんが無事に収穫できた。


生果では美味しくないようなことを聞いていたし、以前、展示会で食べたものは、ポリフェノールの味が強すぎて、好みでなかったけれど、最近のモロはそんなことはない。

岩井さんのモロは、生でも十分に、否、すごく美味しい。


まだまだ貴重なので、ぜひお試しいただきたい。

■ブラッドオレンジ(モロ) 静岡県産 約1kg 1620円(税込)~

https://www.shop-ryokuken.com/SHOP/413522.html


そして、タロッコについては、続報をお待ちいただきたい。

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