公私混同5。~安芸農園~
「かわいい~」
「ほっぺたさわりて~」
三男は、なんだか飛行機の中でも大人気だった。
リュックを背負って、とことこと歩く姿もこの上なくかわいい。
必要最低限の荷物だけだったので、預ける荷物もなく、サクサクと出口を出た。
だが、やっぱりLCCなので、外に出るまでが遠い。
予約したトヨタレンタカーの受付までがまた遠い。
「うんちした~」とした二人が連呼。
8時20分くらいだったから時間には余裕があるし、二人のおむつを、トイレで変えた。
新千歳空港のトヨタレンタカーは二つの営業所があり、スズラン店とポプラ店がある。
今回はポプラ店だった。
送迎車で向かうのだが、結構な距離がある。
車で10分くらい。
予約してあった、チャイルドシート二つ、ジュニアシートひとつの「アクア」に乗り込み、いざ、余市へ出発。
空港から最寄りのインター入り口までは10分ほど。
そこから高速道路に移り、札幌を抜けて、小樽・余市方面へと向かう。
北海道はすでに紅葉が始まっており、窓の外がきれいだった。
空気も少しひんやり。
ただ、羽田と違い、北海道は気持ちよく晴れていた。
1時間ほどすると、右側に海が見えてくる。
日本海だ。
ほどなくして小樽インター出口になる。
高速道路は小樽までで、そこからは市街地を抜けていく。
現在、高速道路は延長中で、数年以内に、小樽から余市の道もつながるという。
銀座と同じで、小樽にもあきらかな外国人観光客のツアーが枚挙して来日しているようだった。
小樽の市街地を抜けて少し内陸に向かい、トンネルをくぐると、海岸沿いの道路になる。
この見渡せる海がまた素敵だ。
波で浸食された岩が独特の形状になっており、日本海らしい景観美が続く。
短いトンネルをもう一つ潜り抜けてすぐ、左に入る。
函館本線の踏切を超えて、すぐに右折。
しばらく道なりに車を走らせて、信号で左折。
すぐに安芸さんのご自宅に着く。
「ここだ。」
敷地内にアクアを入れた。
「着いた~」
長らく車で寝ていた息子たちも外に出たくて仕方がない。
少し離れたところで、若いナイスガイがこちらを見ている。
「誰かと思ったら。大森さんじゃないですか。」
安芸さんの長男、元延さん。
最後に会ったのは、数年前。
まだ20歳だった。
しばらく見ない間に、体躯もがっしりと農家らしくなり、あどけない笑顔とともに、雰囲気も出てきていた。
「父さんはどこに行くというでもなく、どこかに行っていますが、電話してみますか?」
「あ、じゃあお願いします。」
「ダメです、つながりません。」
「まあ、でも来ることは伝えてあるので、しばらく待ってみます。」
「虫だ!」
「なんだ!」
と思い思いに遊んでいたが、とんでもない遊び相手を見つけて、じゃれていた。
アンとローラ、二匹の大型犬である。
人にも良く慣れており、仰向けになって、なでている。
気が付けば、息子三人とも、嬉しそうに、ローラをなでなでしている。
「(子供は)3人っすか。」
「はい。」
「うちも一人いるので、会って行ってください。」と元延さん。
安芸農園は、三角形の白いご自宅の前後の平地に、大きな畑がある。
入り口から入って、左には、以前は西洋梨が植えてあった。
私が大好きな、グランドチャンピオンもそこにあった。
適度な酸味があって、なめらか極まりない舌触りで、もはや記憶にしかない。
残念ながら、老木で、病気が蔓延していたのと、安芸農園の大きな転換期で、雇用維持と創出のため、一年に一回しか収穫できないものをやめて、「ささげ」という平ざやのインゲンの作付けを増やしたのだ。
右側には、もともとハウスが立ち並び、ささげと、師玉のナイアガラぶどうが植えてある。
ちなみに、後述するが、車で5分~10分くらいの圏内の少し上ったところに、ワインぶどうと、りんご畑が数か所にわたって存在する。
右側のハウス群と安芸さんのご自宅の間には倉庫や研修生を受け入れるために建てたという家がある。
元延さんに案内されたのは、その研修生用の建物だった。
窓際に、奥さんと2歳になるかわいい息子さんと子犬が来ていた。
「あれ、こちらは研修生用に建てた家ではなかったでしたっけ?」
北海道に限らず、多くの大規模農家では、中国や東南アジアから、農業を目指す若ものたちを積極的に受けれいている。
短期的な働き手にもなるし、日本の農業技術を学ぼうと、意欲の高い若者は多い。
そういった人たちに住み込みで働いてもらえるよう、寮を作ったのだ。
「そういう話もあったんですが、結局、増築もして、僕たちの結婚のタイミングもあって、僕の家にしました。」
ちょっと苦笑いしている元延さん。
そういえば以前、お会いした時、「一回は外に修行に出てもらって、それから家には戻ってきてもらいたいと思ってるんだ。できれば、そこでお嫁さんも捕まえてきてくれればなんて思ってるんだ。」と安芸さんが話してたっけ。
現実になって安芸さんは心から嬉しいはず。
男の子もすでに生まれ、先のことはわからないが、これで、安芸農園は安泰だ。
私も本当にうれしい。
農家さんの男系の跡取りは、都会のそれとは比べ物にならないくらい意識が高い。
「2月にもう一人生まれる予定です。」と元延さん。
へえ~。
「目がぱっちりで、耳も大きくて、安芸農園は安泰だね!」と私が言うと、後ろから声がした。
「私の目に、そっくりでしょう?」
「ほっぺたさわりて~」
三男は、なんだか飛行機の中でも大人気だった。
リュックを背負って、とことこと歩く姿もこの上なくかわいい。
必要最低限の荷物だけだったので、預ける荷物もなく、サクサクと出口を出た。
だが、やっぱりLCCなので、外に出るまでが遠い。
予約したトヨタレンタカーの受付までがまた遠い。
「うんちした~」とした二人が連呼。
8時20分くらいだったから時間には余裕があるし、二人のおむつを、トイレで変えた。
新千歳空港のトヨタレンタカーは二つの営業所があり、スズラン店とポプラ店がある。
今回はポプラ店だった。
送迎車で向かうのだが、結構な距離がある。
車で10分くらい。
予約してあった、チャイルドシート二つ、ジュニアシートひとつの「アクア」に乗り込み、いざ、余市へ出発。
空港から最寄りのインター入り口までは10分ほど。
そこから高速道路に移り、札幌を抜けて、小樽・余市方面へと向かう。
北海道はすでに紅葉が始まっており、窓の外がきれいだった。
空気も少しひんやり。
ただ、羽田と違い、北海道は気持ちよく晴れていた。
1時間ほどすると、右側に海が見えてくる。
日本海だ。
ほどなくして小樽インター出口になる。
高速道路は小樽までで、そこからは市街地を抜けていく。
現在、高速道路は延長中で、数年以内に、小樽から余市の道もつながるという。
銀座と同じで、小樽にもあきらかな外国人観光客のツアーが枚挙して来日しているようだった。
小樽の市街地を抜けて少し内陸に向かい、トンネルをくぐると、海岸沿いの道路になる。
この見渡せる海がまた素敵だ。
波で浸食された岩が独特の形状になっており、日本海らしい景観美が続く。
短いトンネルをもう一つ潜り抜けてすぐ、左に入る。
函館本線の踏切を超えて、すぐに右折。
しばらく道なりに車を走らせて、信号で左折。
すぐに安芸さんのご自宅に着く。
「ここだ。」
敷地内にアクアを入れた。
「着いた~」
長らく車で寝ていた息子たちも外に出たくて仕方がない。
少し離れたところで、若いナイスガイがこちらを見ている。
「誰かと思ったら。大森さんじゃないですか。」
安芸さんの長男、元延さん。
最後に会ったのは、数年前。
まだ20歳だった。
しばらく見ない間に、体躯もがっしりと農家らしくなり、あどけない笑顔とともに、雰囲気も出てきていた。
「父さんはどこに行くというでもなく、どこかに行っていますが、電話してみますか?」
「あ、じゃあお願いします。」
「ダメです、つながりません。」
「まあ、でも来ることは伝えてあるので、しばらく待ってみます。」
「虫だ!」
「なんだ!」
と思い思いに遊んでいたが、とんでもない遊び相手を見つけて、じゃれていた。
アンとローラ、二匹の大型犬である。
人にも良く慣れており、仰向けになって、なでている。
気が付けば、息子三人とも、嬉しそうに、ローラをなでなでしている。
「(子供は)3人っすか。」
「はい。」
「うちも一人いるので、会って行ってください。」と元延さん。
安芸農園は、三角形の白いご自宅の前後の平地に、大きな畑がある。
入り口から入って、左には、以前は西洋梨が植えてあった。
私が大好きな、グランドチャンピオンもそこにあった。
適度な酸味があって、なめらか極まりない舌触りで、もはや記憶にしかない。
残念ながら、老木で、病気が蔓延していたのと、安芸農園の大きな転換期で、雇用維持と創出のため、一年に一回しか収穫できないものをやめて、「ささげ」という平ざやのインゲンの作付けを増やしたのだ。
右側には、もともとハウスが立ち並び、ささげと、師玉のナイアガラぶどうが植えてある。
ちなみに、後述するが、車で5分~10分くらいの圏内の少し上ったところに、ワインぶどうと、りんご畑が数か所にわたって存在する。
右側のハウス群と安芸さんのご自宅の間には倉庫や研修生を受け入れるために建てたという家がある。
元延さんに案内されたのは、その研修生用の建物だった。
窓際に、奥さんと2歳になるかわいい息子さんと子犬が来ていた。
「あれ、こちらは研修生用に建てた家ではなかったでしたっけ?」
北海道に限らず、多くの大規模農家では、中国や東南アジアから、農業を目指す若ものたちを積極的に受けれいている。
短期的な働き手にもなるし、日本の農業技術を学ぼうと、意欲の高い若者は多い。
そういった人たちに住み込みで働いてもらえるよう、寮を作ったのだ。
「そういう話もあったんですが、結局、増築もして、僕たちの結婚のタイミングもあって、僕の家にしました。」
ちょっと苦笑いしている元延さん。
そういえば以前、お会いした時、「一回は外に修行に出てもらって、それから家には戻ってきてもらいたいと思ってるんだ。できれば、そこでお嫁さんも捕まえてきてくれればなんて思ってるんだ。」と安芸さんが話してたっけ。
現実になって安芸さんは心から嬉しいはず。
男の子もすでに生まれ、先のことはわからないが、これで、安芸農園は安泰だ。
私も本当にうれしい。
農家さんの男系の跡取りは、都会のそれとは比べ物にならないくらい意識が高い。
「2月にもう一人生まれる予定です。」と元延さん。
へえ~。
「目がぱっちりで、耳も大きくて、安芸農園は安泰だね!」と私が言うと、後ろから声がした。
「私の目に、そっくりでしょう?」
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